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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-255 5.8

第91条制裁規定の制限【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

  今日は「制裁規定」をみていきます。

 「制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を就業規則に記載しなければなりません。(相対的必要記載事項です)

 制裁の種類は、譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇等がありますが、制裁の種類及び程度については、労働基準法上の制限はありません。

 ただし、「減給の制裁」については、労働基準法上の制限が設けられています。

 

 条文を読んでみましょう。

91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

減給制裁の制限

1回の事案について

→ 減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければなりません

 ※例えば、平均賃金が1万円なら、1回の事案で減給できるのは5千円までです

・一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額について

→当該賃金支払期における賃金総額の10分の1以内でなければなりません

 ※例えば、当該賃金支払期の賃金総額が25万円なら、減給の総額は25千円以内です。5件の事案が発生した場合は、5千円×5回=25千円まで減給できます。

 ※事案が6件になった場合は、2万5千円を超えた部分は次期賃金支払期に延ばさなければなりません。

(昭23.9.20基収1789号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R3年出題】

 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 「一賃金支払期における賃金の総額」は、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいいます。

欠勤や遅刻等で賃金総額がカットされたときは、カットされた賃金総額を基礎として10分の1を計算します。

(昭25.9.8基収1338号)

 

 

②【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける。

 

 

 

 

【解答】

②【R2年出題】 ×

 遅刻・早退・欠勤で労働の提供がなかった時間分の賃金を差し引くことは、減給制裁に当たりませんので、労働基準法第91条による制限は受けません。

 ※ただし、遅刻早退の時間分の賃金額を超える減給は制裁とみなされ、第91条の制限を受けます。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

③【R3年出題】

 就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】  ×

 懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めても、減給制裁に当たらないとされています。

(昭26.3.31基収938号)

 

 

④【H28年出題】

 服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反となる。

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 ×

 出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、出勤停止の当然の結果となり、減給制裁に当たりません。

(昭23.7.3基収2177号)

 

 

⑤【H30年出題】

 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。

 

 

 

【解答】

⑤【H30年出題】 ×

 「制裁事由発生日(行為時)」ではなく、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」です。

(昭30.7.19基収5875号) 

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