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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-257 5.10

特別加入者に対する支給制限【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

 中小事業主等、一人親方等、海外派遣者は、労災保険に特別加入できます。

 特別加入すると、労働者とみなされ、労働者と同じ補償が受けられます。

 ただし、労働者とは異なる規定もありますので、注意しましょう。

 

今回は、労働者と異なる規定のひとつ「支給制限」をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

34条第1項第4

中小事業主等の事故が第1種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるときも、同様とする

 

35条第1項第7号

一人親方等及び特定作業従事者の事故が、第2種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

36条第1項第3

海外派遣者の事故が、第3種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

★特別加入者の支給制限について

・中小事業主等のみに規定されているもの

 中小事業主等の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

・中小事業主等、一人親方等、海外派遣者共通で規定されているもの

 事故が特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

 

★★「労働者」の場合と比較してみましょう。

① 事業主が故意又は重大な過失により労災保険の保険関係成立届を提出していない期間中に生じた事故

② 事業主が一般保険料を納付しない期間中に生じた事故

③ 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

(第31条第1項)

①②③については、事業主に非があるため、「事業主からの費用徴収」の対象になります。労働者に対する保険給付は全額支給され、支給制限は行われません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定された。その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、政府は、その業務災害と認定された者に対して保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 特別加入している中小事業主等の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」です。

 事業主から費用を徴収するのではなく、「支給制限」が行われます。

(第34条第1項第4号)

 

 

②【H26年出題】

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第一種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 ×

 第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、「保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる(=費用徴収)。」ではなく、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(=支給制限)」となります。

(第34条第1項第4号)

 

 

③【H26年出題】

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第二種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 ×

 ②の問題と同じです。第二種特別加入保険料が滞納されている期間中の事故については、費用徴収ではなく、支給制限となります。

(第35条第1項第7号) 

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