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社会保険労務士合格研究室

【横断】労災・健保・国年・厚年

R6-353 8.14 

<横断編>法律で異なる生計維持の要件について【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は横断編です。

 

 

★労災保険法★

「遺族補償年金」について

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

ポイント!

 もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる

(41.1.31基発第73)

 

★健康保険法★

「被扶養者」の認定について

①主としてその被保険者により生計を維持するもの(同一世帯になくてもよい)

 直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、孫、兄弟姉妹

②被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

・被保険者の3親等内の親族で①以外のもの

・被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子

・上記の配偶者の死亡後におけるその父母及び子

ポイント!

① 被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)が被保険者と同一世帯に属している場合

1) 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入2分の1未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとすること。

2) 前記(1)の条件に該当しない場合であっても、当該認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上廻らない場合には、当該世帯の生計の状況を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないこと。

② 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合

 認定対象者の年間収入が、130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合には、原則として被扶養者に該当するものとすること。 

(52.4.6保発第9号・庁保発第9号)

 

埋葬料について

 被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料を支給する。

ポイント!

 生計を維持していた者には、被保険者により生計の全部又は大部分を維持した者のみに限らず一部分を維持していた者も含みます。

(昭8.8.7保発第502)

 

 

★国民年金法・厚生年金保険法

生計維持の認定要件

① 生計維持認定対象者(障害厚生年金及び障害基礎年金の生計維持認定対象者は除く)→ 次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有する認められる者以外の者に該当するものとする。

ア 前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。

イ 前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。

ウ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記ア又はイに該当すること。

エ 前記のア、イ又はウに該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。

 

② 障害厚生年金及び障害基礎年金の生計維持認定対象者

→ 次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を有すると認められる者以外の者に該当するものとする。

ア 前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。

イ 前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。

ウ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記ア又はイに該当すること。

エ 前記のア、イ又はウに該当しないが、定年退職等の事情により現に収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。

(23.3.23年発03232)

 

★障害基礎年金、障害厚生年金は、受給権が発生した後でも、結婚や出生などで加算の要件を満たした場合は、その翌月から加算が行われます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

★労災保険法

H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 ×

 遺族が死亡労働者の収入によって消費生活の全部又は一部を営んでいた関係が認められる限り、遺族と死亡労働者との間に「生計維持関係」があったものと認めて差し支えないとされています。

 問題文の場合は、生計維持関係があったものとされ、遺族補償年金を受けることができます。

(昭41.10.22基発1108号)

 

 

★健康保険法

※注意 問題文の被扶養者は、すべて日本国内に住所を有しています。

①【H27年出題】

 年収250万円の被保険者と同居している母(58歳であり障害者ではない。)は、年間100万円の遺族厚生年金を受給しながらパート労働しているが健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパート労働による給与の年間収入額が120万円であった場合は、母は当該被保険者の被扶養者になることができる。

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 問題文の母は被扶養者になることができません。

 母の収入が、100万円の遺族厚生年金+パートの給与120万円=年間220万円あるためです。

 

 

②【R1年出題】

 被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)が被保険者と同一世帯に属している場合、当該認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、当該世帯の生計の状況を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当する。

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 〇

 年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)で、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満であることが原則ですが、年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)で、かつ、「被保険者の年間収入を上回らない場合」は、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当します。

 

 

③【H24年出題】

 埋葬料の支給要件にある「その者により生計を維持していた者」とは、被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持していた者に限られず、生計の一部を維持していた者も含まれる。

 

 

 

 

【解答】

③【H24年出題】 〇

 埋葬料の支給要件の「その者により生計を維持していた者」には、生計の一部を維持していた者も含まれます。

(昭8.8.7保発第502)

 

 

★国民年金法・厚生年金保険法

①【国民年金R2年出題】

 遺族基礎年金の支給に係る生計維持の認定に関し、認定対象者の収入については、前年の収入が年額850万円以上であるときは、定年退職等の事情により近い将来の収入が年額850万円未満となると認められても、収入に関する認定要件に該当しないものとされる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【国民年金R2年出題】 ×

 前年の収入が年額850万円以上でも、定年退職等の事情により近い将来の収入が年額850万円未満となると認められる場合は、収入に関する認定要件に該当します。

 

 

②【厚生年金保険法H27年出題】

 老齢厚生年金(その計算の基礎となる被保険者期間の月数は240か月以上。)の加給年金額に係る生計維持関係の認定要件について、受給権者がその権利を取得した当時、その前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては前々年の収入)が厚生労働大臣の定める金額以上の収入を有すると認められる者以外の者でなければならず、この要件に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来収入がこの金額を下回ると認められる場合であっても、生計維持関係が認定されることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【厚生年金保険法H27年出題】 ×

 ①の問題と同じです。問題文の場合は、生計維持関係が認定されます。

 

 

③【厚生年金保険法H29年出題】

 障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。

 

 

 

 

【解答】

③【厚生年金保険法H29年出題】 〇

 配偶者を有するに至った日の属する月の「翌月」から、加給年金額が加算されるのがポイントです。

 障害基礎年金と障害厚生年金は、「受給権を取得した日の翌日以後」にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者(障害基礎年金の場合は子)を有するに至ったときでも、加算の対象になります。

条文を読んでみましょう。

国民年金法第33条の2第2

 障害基礎年金の受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の子(18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある子及び20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子に限る。)を有するに至ったことにより、加算額を加算することとなったときは、当該子を有するに至った日の属する月の翌月から、障害基礎年金の額を改定する。

 

 

厚生年金保険法第50条の2第3

 障害厚生年金の受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。

 

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