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R7-017 9.11
令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。
今日は、労働契約法の択一式です。
令和6年労働に関する一般常識の問3の問題をどうぞ!
①【R6年出題】
労働契約は労働者及び使用者が合意することによって成立するが、合意の要素は、「労働者が使用者に使用されて労働すること」、「使用者がこれに対して賃金を支払うこと」、「詳細に定められた労働条件」であり、労働条件を詳細に定めていなかった場合には、労働契約が成立することはない。
【解答】
①【R6年出題】 ×
労働契約は「労働者及び使用者の合意」によって成立します。合意の要素は、「労働者が使用者に使用されて労働」すること及び「使用者がこれに対して賃金を支払う」ことです。
労働条件を詳細に定めていなかった場合であっても、労働契約そのものは成立します。
(法第6条、H24.8.10基発0810第2号)
②【R6年出題】
労働基準法第106条に基づく就業規則の「周知」は、同法施行規則第52条の2各号に掲げる、常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法のいずれかによるべきこととされているが、労働契約法第7条柱書きの場合の就業規則の「周知」は、それらの方法に限定されるものではなく、実質的に判断される。
【解答】
②【R6年出題】 〇
まず、労働契約法第7条を読んでみましょう。
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、 第12条に該当する場合を除き、この限りでない。 |
労働契約法第7条の「就業規則」とは、労働者が就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称をいい、労働基準法第89条の「就業規則」と同様ですが、法第7条の「就業規則」には、常時10人以上の労働者を使用する使用者以外の使用者が作成する労働基準法第89条では作成が義務付けられていない就業規則も含まれます。
法第7条の「周知」とは、例えば、
① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
② 書面を労働者に交付すること
③ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
等の方法により、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことをいいます。このように周知させていた場合には、労働者が実際に就業規則の存在や内容を知っているか否かにかかわらず、法第7条の「周知させていた」に該当します。
なお、労働基準法第106条の「周知」は、労働基準法施行規則第52条の2により、 ①から③までのいずれかの方法によるべきこととされていますが、法第7条の「周知」は、これらの3つの方法に限定されるものではなく、実質的に判断されます。
(法第7条、H24.8.10基発0810第2号)
③【R6年出題】
労働基準法第89条及び第90条に規定する就業規則に関する手続が履行されていることは、労働契約法第10条本文の、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果を生じさせるための要件ではないため、使用者による労働基準法第89条及び第90条の遵守の状況を労働契約法第10条本文の合理性判断に際して考慮してはならない。
【解答】
③【R6年出題】 ×
労働契約法第10条は、就業規則の変更により労働契約の内容である労働条件を変更することができる場合について規定しています。また、法第11条は、労働基準法において、就業規則の変更の際に必要となる手続が規定されていることを規定しています。
★ 就業規則の変更の手続については、
① 労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、変更後の就業規則を所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないこと
② 労働基準法第90条により、就業規則の変更について過半数労働組合等の意見を聴かなければならず、①の届出の際に、その意見を記した書面を添付しなければならないこと
とされていいます。
★ 労働基準法第89条及び第90条の手続が履行されていることは、法第10条本文の法的効果を生じさせるための要件ではないものの、同条本文の合理性判断に際しては、就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮されることから、使用者による労働基準法第89条及び第90条の遵守の状況は、合理性判断に際して考慮され得るものとされています。
(法第10条、第11条、H24.8.10基発0810第2号)
④【R6年出題】
労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、期間の定めのある労働契約(以下本問において「有期労働契約」という。)は、試みの使用期間(試用期間)を設けることが難しく、使用者は労働者の有する能力や適性を事前に十分に把握できないことがあることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、同法第16条に定めるいわゆる解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも広いと解される。
【解答】
④【R6年出題】 ×
労働契約法第17条第1項の条文を読んでみましょう。
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。 |
有期労働契約については、契約期間中は、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合は、解雇することはできません。
「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものですが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解されます。
(法第17条第1項、H24.8.10基発0810第2号)
⑤【R6年出題】
労働契約法第18条第1項によれば、労働者が、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下本肢において同じ。)の契約期間を通算した期間が5年を超えた場合には、当該使用者が、当該労働者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたものとみなすこととされている。
【解答】
⑤【R6年出題】 ×
労働契約法第18条第1項の条文を読んでみましょう。
同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。 |
第18条は、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)に転換させる仕組み(「無期転換ルール」という。)を設けることにより、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図ることとしたものです。
無期転換ルールは、「有期契約労働者が無期転換の申込み」をした場合、無期労働契約が成立する(使用者は申込みを承諾したものとみなす=断ることができない)というものです。
問題文のように、「使用者が、当該労働者に対し、現に締結している有期労働契約が満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたものとみなす」ではありません。
(法第18条、H24.8.10基発0810第2号)
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