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社会保険労務士合格研究室

令和6年度択一式を振り返りましょう(労働基準法)

R7-080 11.13

<令和6年の問題を振り返って>テレワークと事業場外みなし労働時間制

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労働基準法の択一式です。

 

情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインより

在宅勤務については、事業主が労働者の私生活にむやみに介入すべきではない自宅で勤務が行われ、労働者の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない働き方であることから、一定の場合には、労働時間を算定し難い働き方として、労働基準法第38条の2で規定する事業場外労働のみなし労働時間制(以下「みなし労働時間制」という。)を適用することができる。

 在宅勤務についてみなし労働時間制が適用される場合は、在宅勤務を行う労働者が就業規則等で定められた所定労働時間により勤務したものとみなされることとなる。業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該必要とされる時間労働したものとみなされ、労使の書面による協定があるときには、協定で定める時間が通常必要とされる時間とし、当該労使協定を労働基準監督署長へ届け出ることが必要となる(労働基準法第38条の2)。

(H20.7.28基発第0728001号)

 

では、事業場外みなし労働時間制の条文を読んでみましょう。

38条の2

① 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

② ①のただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、労使協定を行政官庁に届け出なければならない。

則第24条の2第3

労使協定の届出は、所轄労働基準監督署長にしなければならない。ただし、労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該協定を届け出ることを要しない。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R65-ウ】

 労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(テレワーク)においては、「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」さえ満たせば、労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外みなし労働時間制を適用することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

R65-ウ】 ×

 「テレワーク」に、事業場外みなし労働時間制を適用できる条件を確認しましょう。

★次に掲げるいずれの要件をも満たす形態で行われる在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)については、原則として、労働基準法第38条の2に規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用されます。

 ①当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。

 ②当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。

 ③当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

H16.3.5基発第0305001号)

 「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」のみでは、適用されません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 上の令和6年の問題の解説のように、要件を満たした場合、情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(テレワーク)にも、労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制が適用されます。

 

 

②【H18年出題】

 労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。

 

 

 

 

【解答】

②【H18年出題】 〇

・労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合で、労働時間を算定し難いとき

<原則>所定労働時間労働したものとみなされる

<業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合>

当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。

<労使協定があるとき>

労使協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる

 

 

③【R1年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。

 

 

 

 

【解答】

③【R1年出題】 〇

 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりませんが、労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はありません。

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