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社会保険労務士合格研究室

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-113 12.18

<令和6年の問題を振り返って>複数事業労働者の休業(補償)等給付について

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう

今日は、労災保険法の択一式です。

 

■複数事業労働者の給付基礎日額の算定方法を確認しましょう。

 

法第8条第3項

複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族その他厚生労働省令で定める者に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額とする。

 

 複数事業労働者の給付基礎日額は、複数の就業先ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。

 

■「部分算定日」の定義を確認しましょう。

★療養のために所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日

★賃金が支払われる休暇(有給休暇、通勤手当・住宅手当等が支給される休業日)

 

 例えば、給付基礎日額が10,000円、午前中の労働に対する賃金が4,000円の場合、休業(補償)等給付の額は以下の式で計算します。

10,000円-4,000円)×60%=3,600

・(給付基礎日額-部分算定日に対して実際に支払われた賃金)×60%です。

 

 

 

 

「複数事業労働者」についての通達を確認しましょう。

<複数事業労働者に係る休業(補償)等給付の支給要件について>

(1)  休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付(以下「休業(補償)等給付」という。)の給付事由

療養のため

労働することができない」ために

賃金を受けない日」という3要件を満たした日の

4日目から支給されます。

(2) 「労働することができない」とは

必ずしも負傷直前と同一の労働ができないという意味ではなく、一般的に働けないことをいいます。したがって、軽作業に就くことによって症状の悪化が認められない場合、あるいはその作業に実際に就労した場合には、給付の対象とはなりません。

★複数事業労働者について

 複数就業先における全ての事業場における就労状況を踏まえて、休業(補償)等給付に係る支給の要否を判断する必要があります。

→ 例えば、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労した場合には、原則、「労働することができない」とは認められないことから、「賃金を受けない日」に該当するかの検討を行う必要はなく、休業(補償)等給付に係る保険給付については不支給決定となります。

→ ただし、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において通院等のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には「労働することができない」に該当すると認められることがあります

 

(3) 「賃金を受けない日」について

賃金を受けない日」には、賃金の全部を受けない日一部を受けない日があります。

賃金の一部を受けない日とは

① 所定労働時間の全部について「労働することができない」場合で、平均賃金の 60%未満の金額しか受けない日

② 通院等のため所定労働時間の一部について「労働することができない」場合で、当該一部休業した時間について全く賃金を受けないか、又は「平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額」しか受けない日

★複数事業労働者については

 複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)60%以上の賃金を受けることにより賃金を受けない日に該当しない状態でありながら、他の事業場において、傷病等により無給での休業をしているため、賃金を受けない日に該当する状態があり得ます。

 したがって、複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る「賃金を受けない日」の判断については、まず複数就業先における事業場ごとに行うこととされています。

 その結果、一部の事業場でも賃金を受けない日に該当する場合には、当該日は「賃金を受けない日」に該当するものとして取り扱うこととなっています。

 一方、全ての事業場において賃金を受けない日に該当しない場合は、当該日は「賃金を受けない日」に該当せず、保険給付を行わないこととなっています。

(令和3318日/基管発03181号/基補発03186号/基保発03181号/)

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

①【R6年問4-A

 休業補償給付が支給される三要件のうち「労働することができない」に関して、業務災害に被災した複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において当該業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、「労働することができない」に該当すると認められることがある。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年問4-A】 〇

 A社では労働者として就労している。しかし、B社では業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない。

「労働することができない」に該当すると認められることがある。

 

 

②【R6年問4-B

 休業補償給付が支給される三要件のうち「賃金を受けない日」に関して、被災した複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態でありながら、他の事業場において、当該業務災害による傷病等により無給での休業をしているため、「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問4-B】 〇

 A社では、年次有給休暇等により平均賃金相当額の60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態である。しかし、B社では無給での休業をしている

→ 「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。

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