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社会保険労務士合格研究室

労災保険法(介護補償給付その2)

R7-162 02.06

介護補償給付の支給額(原則実費・上限、最低保障額あり)

前回は、介護補償給付の支給要件についてお話ししました。

今回は、介護補償給付として支給される額をみていきます。

★原則は介護費用として支払った額(実費)が支給されますが、上限と最低保障額があることがポイントです。

 

では、条文を読んでみましょう。

19条の2

 介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。

 

則第18条の3の4 (介護補償給付の額)

1) その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合

→ その月において介護に要する費用として支出された費用の額(実費)

※その額が177,950円を超えるときは、177,950とする。(上限)

2) 親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある場合(最低保障額が適用される)

・ その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある・親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある・介護に要する費用として支出された費用の額が81,290円に満たないとき

→ 81,290円(最低保障額)

・ その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない・親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある(介護費用を支出せず、親族等による介護のみ)

→ 81,290円(最低保障額)

 

★「支給すべき事由が生じた月」は最低保障額が適用されません

 「支給すべき事由が生じた月」において、介護に要する費用として支出された額が81,290円に満たない → 介護に要する費用として支出された額(実費・最低保障なし)

 そのため、「支給事由が生じた月」に親族等による介護を受けた場合でも、介護に要する費用として支出された費用がゼロの場合は、介護補償給付の額もゼロとなります。

 

★ 「随時介護を要する状態」の場合は、上限が「88,980円」、最低保障額が「40,600円」となります。常時介護の2分の1です。(端数処理があります)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 介護補償給付は、月を単位として支給されるが、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 介護補償給付は、「月」単位で支給されます。

 

 

②【H25年出題】

 介護補償給付の額は、常時介護を要する状態の被災労働者については、支給すべき事由が生じた月において介護に要する費用として支出された額が、労災保険法施行規則に定める額に満たない場合にあっては、当該介護に要する費用として支出された額である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 〇

★最低保障額のポイント!

・ 「支給すべき事由が生じた月」は、最低保障額は適用されません。

・ 最低保障額が適用される要件は、「親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある」ことです。

※ 例えば、「支給すべき事由が生じた月」が1月で、介護に要する費用として支出された額が81,290円未満で、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある場合

→ 1月は最低保障額が適用されませんので、介護補償給付の額は「介護に要する費用として支出された額=実費」です。

2月以降は最低保障額の81,290円が支給されます。

1月

2月

3月

4月

実 費

最低保障額

最低保障額

最低保障額

 

 

 

③【R2年出題】

 介護補償給付は、親族又はこれに準ずる者による介護についても支給されるが、介護の費用として支出した額が支給されるものであり、「介護に要した費用の額の証明書」を添付しなければならないことから、介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は支給されない。

 

 

 

 

【解答】

③【R2年出題】 ×

 介護費用を支払わなくても、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある場合は、介護補償給付は支給されます。

※ ただし、「支給すべき事由が生じた月」は最低保障はありません。

 例えば「支給すべき事由が生じた月」が1月で、介護に要する費用を支出しないで、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある場合

→ 1月は最低保障額が適用されませんので、介護補償給付は支給されません。

2月以降は最低保障額の81,290円が支給されます。

1月

2月

3月

4月

支給なし

最低保障額

最低保障額

最低保障額

 

 なお、「介護に要した費用の額の証明書」は、「介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合」に、添付しなければなりません。介護費用を支払っていない場合は、添付する必要はありません。

(則第18条の3の5)

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