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R7-188 03.04
労働基準法では、解雇が禁止される期間を設けています。
条文を読んでみましょう。
法第19条 ① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。 ② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。 |
★解雇制限期間と例外を確認しましょう。
解雇が禁止される期間 | 例外で解雇できる場合 |
①業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間+その後30日間 | ・打切補償を支払う場合(行政官庁の認定不要) ・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(行政官庁の認定を受けること) |
②産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間+その後30日間 | ・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(行政官庁の認定を受けること) |
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっていて、それが従業員にも徹底している場合には、その定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しない。
【解答】
①【H26年出題】 〇
・就業規則で定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めている。
・従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっている。
↓
定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しません。
(昭26.8.9基収3388号)
②【H29年出題】
使用者は、労働者が業務上の傷病により治療中であっても、休業しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。
【解答】
②【H29年出題】 〇
業務上の傷病により治療中でも、休業しないで就労している場合は、解雇は制限されません。
解雇が制限されるのは「休業する期間+30日間」です。
(昭24.4.12基収1134号)
③【R1年出題】
使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。
【解答】
③【R1年出題】 〇
産前の休業を請求しないで就労している場合は、解雇は制限されません。
(昭25.6.16基収1526号)
④【H26年出題】
労働基準法第19条第1項に定める産前産後の女性に関する解雇制限について、同条に定める除外事由が存在しない状況において、産後8週間を経過しても休業している女性の場合については、その8週間及びその後の30日間が解雇してはならない期間となる。
【解答】
④【H26年出題】 〇
産前産後の女性の解雇が制限されるのは、「第65条の規定によって休業する期間+その後30日間」です。
第65条で規定される産後の休業は、「産後8週間」です。
そのため、産後8週間を超えて休業している期間は、解雇は制限されません。
産後8週間を超えて休業していても、解雇が制限されるのは、「産後8週間及びその後の30日間」となります。
⑤【H30年出題】
使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。
【解答】
⑤【H30年出題】 ×
「税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合」は、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には当たりません。
(昭63.3.14基発150号)
⑥【R5年出題】
従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、労働基準法第19条及び第20条にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当しない。
【解答】
⑥【R5年出題】 〇
「従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合」は、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たりません。
(昭63.3.14基発150号)
⑦【H28年選択式】
最高裁判所は、労働基準法第19条第1項の解雇制限が解除されるかどうかが問題となった事件において、次のように判示した。
「労災保険法に基づく保険給付の実質及び労働基準法上の災害補償との関係等によれば、同法〔労働基準法〕において使用者の義務とされている災害補償は、これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえるので、使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての同法〔労災保険法〕に基づく保険給付が行われている場合とで、同項〔労働基準法第19条第1項〕ただし書の適用の有無につき取扱いを異にすべきものとはいい難い。また、後者の場合には< A >として相当額の支払がされても傷害又は疾病が治るまでの間は労災保険法に基づき必要な療養補償給付がされることなども勘案すれば、これらの場合につき同項ただし書の適用の有無につき異なる取扱いがされなければ労働者の利益につきその保護を欠くことになるものともいい難い。
そうすると、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は、解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては、同項ただし書が< A >の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当である。
したがって、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後< B >を経過しても疾病等が治らない場合には、労働基準法75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による< A >の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である。」
【解答】
<A> 打切補償
<B> 3年
(最高二小平27.6.8)
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