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R7-205 03.21
「随時改定」とは、固定的賃金の変動があった場合に標準報酬月額を見直すことです。
随時改定に当てはまる要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第43条 ① 保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上(短時間労働者の場合は11日以上)でなければならない。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。 ② 随時改定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。 |
★随時改定は次の3つの要件を満たした場合に行われます。
① 昇給や降給などで、固定的賃金に変動があったこと。
② 固定的賃金が変動した月からの3か月間に支払われた報酬の平均月額とこれまでの標準報酬月額に2等級以上の差が生じたこと。
③ 継続した3か月の報酬支払基礎日数が各月とも17日以上(短時間労働者は11日以上)あること。
★著しく高低を生じた月の翌月から改定されます
2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
| 固定的賃金の変動 |
| 著しく 高低を生じた月 | 標準報酬月額 改定 |
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例えば、3月に昇給で固定的賃金が変動し、3月、4月、5月の報酬の平均月額と、これまでの標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合、「6月」から随時改定により、標準報酬月額が改定されます。
「著しく高低を生じた月の翌月」とは「固定的賃金の変動があった月から4か月目」です。
★定時決定との違いに注意しましょう。
「定時決定」→ 17日未満(短時間労働者は11日未満)の月がある場合は、その月を除いて平均を出します。
「随時改定」→ 継続した3か月間に17日未満(短時間労働者は11日未満)の月がある場合は行われません。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
特定適用事業所において被保険者である短時間労働者の標準報酬月額の定時決定は、報酬支払の基礎となった日数が11日未満である月があるときは、その月を除いて行う。また、標準報酬月額の随時改定は、継続した3か月間において、各月とも報酬支払の基礎となった日数が11日以上でなければ、その対象とはならない。
【解答】
①【H29年出題】 〇
・特定適用事業所において被保険者である短時間労働者について
「定時決定」は、報酬支払基礎日数が11日未満の月があるときは、その月を除いて行う。「随時改定」は、継続した3か月間で、各月とも報酬支払基礎日数が11日以上でなければ行わない。
(法第41条第1項、第43条第1項)
②【H26年出題】
月給制の被保険者について3月に行うべき昇給が、事業主の都合により5月に行われ、3月に遡った昇給差額が5月に支払われた場合、随時改定の対象になるのは5月、6月及び7月の3か月間に受けた報酬の総額(昇給差額を除く。)を3で除して得た額であり、それが随時改定の要件に該当したときは8月から標準報酬月額が改定される。
【解答】
②【H26年出題】 〇
「昇給及び降給が遡及したため、それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じた場合」は、随時改定されるべき月以降において受けるべき報酬月額で算定されます。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
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| 昇給差額 |
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| 改 定 |
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| (5月+6月+7月の報酬-昇給差額)÷3 |
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・3月に行うべき昇給が、事業主の都合により5月に行われ、3月に遡った昇給差額が5月に支払われた
↓
・随時改定の対象になるのは「5月、6月、7月の3か月間に受けた報酬の総額」÷3の額
ポイント!
「昇給差額」は除いて計算すること
差額が支払われた5月が起算月となること
↓
標準報酬月額が改定されるのは8月から
(法第43条、R5.6.27事務連絡)
③【R3年出題】
賃金が時間給で支給されている被保険者について、時間給の単価に変動はないが、労働契約上の1日の所定労働時間が8時間から6時間に変更になった場合、標準報酬月額の随時改定の要件の1つである固定的賃金の変動に該当する。
【解答】
③【R3年出題】 〇
時給単価の変動はないが、契約時間が変わった場合は、固定的賃金の変動に該当します。
(R5.6.27事務連絡)
④【R4年出題】
被保険者Aは、労働基準法第91条の規定により減給の制裁が6か月にわたり行われることになった。そのため、減給の制裁が行われた月から継続した3か月間(各月とも、報酬支払基礎日数が17日以上あるものとする。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった従前の報酬月額に比べて2等級以上の差が生じたため、標準報酬月額の随時改定の手続きを行った。なお、減給の制裁が行われた月以降、他に報酬の変動がなかったものとする。
【解答】
④【R4年出題】 ×
減給制裁は固定的賃金の変動には当たりません。そのため、随時改定の対象になりません。
(R5.6.27事務連絡)
⑤【H28年出題】
被保険者が産前産後休業をする期間について、基本給は休業前と同様に支給するが、通勤の実績がないことにより、通勤手当が支給されない場合、その事業所の通勤手当の制度自体が廃止されたわけではないことから、賃金体系の変更にはあたらず、標準報酬月額の随時改定の対象とはならない。
【解答】
⑤【H28年出題】 〇
「産休等により通勤手当が不支給となっている場合で、通勤の実績がないことにより不支給となっている場合には、手当自体が廃止された訳ではないことから、賃金体系の変更にはあたらず、随時改定の対象とはならない。」とされています。
(令3.4.1事務連絡)
⑥【H30年出題】
標準報酬月額が1,330,000円(標準報酬月額等級第49級)である被保険者が、現に使用されている事業所において、固定的賃金の変動により変動月以降継続した3か月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上であるものとする。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が1,415,000円となった場合、随時改定の要件に該当する。
【解答】
⑥【H30年出題】 〇
随時改定の要件は、原則として2等級以上の差が生じることです。
ただし、49級→50級、1級→2級、50級→49級、2級→1級の場合、1等級の差でも随時改定が行われることがあります。
<49級→50級、50級→49級>
片方の月額が1,415,000円以上
もう片方の月額が1,295,000円以上1,355,000円未満(49級)
<1級→2級、2級→1級>
片方の月額が53,000円未満
もう片方の月額が63,000円以上73,000円未満(2級)
問題文は、標準報酬月額等級第49級にあったものが、昇給で1,415,000円になっていますので、1等級でも随時改定の対象になり、50等級に改定されます。
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