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社会保険労務士合格研究室

健康保険法「不正利得の徴収」

R7-220 04.05

<健保>偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた場合

 詐欺など不正行為で保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者から不正行為によって受けた分のすべてを徴収することできます。

 

 条文を読んでみましょう。

58条 (不正利得の徴収等)

① 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。

② ①の場合において、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、又は保険医療機関において診療に従事する保険医若しくは主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

③ 保険者は、保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用等の支払を受けたときは、当該保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる。

 

②について

 事業主、保険医、主治の医師が不正行為に絡んでいる場合は、保険者は保険給付を受けた者に連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができます。

③について

 保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者が不正の行為で診療報酬の支払いを受けたときは、その額につき返還させるほか、返還させる額の100分の40を支払わせることができます。

 

 

 

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 偽りその他不正行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができるが、その場合の「全部又は一部」とは、偽りその他不正行為によって受けた分が保険給付の一部であることが考えられるので、全部又は一部とされたものであって、偽りその他不正行為によって受けた分はすべて徴収することができるという趣旨である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 偽りその他不正行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。

★「全部又は一部」の意味について

偽りその他不正行為によって受けた分が保険給付の一部であることがあるため

偽りその他不正行為によって受けた分はすべて徴収することができるという意味です。

(昭32.9.2保険発123

 

 

②【R6年出題】

 保険者は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。全部又は一部という意味は、情状によって詐欺その他の不正行為により受けた分の一部であるという趣旨である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年出題】 ×

 全部又は一部という意味は、偽りその他不正行為によって受けた分が保険給付の一部であることがあるためです。偽りその他不正行為によって受けた分はすべて徴収することができるという趣旨です。

①の問題と同じです。

 

 

③【H29年出題】

 保険者は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができるが、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、その保険給付が行われたものであるときであっても、保険者が徴収金を納付すべきことを命ずることができるのは、保険給付を受けた者に対してのみである。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H29年出題】 ×

 事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、事業主に対しても保険給付を受けた者に連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができます。

 

 

④【R3年出題】

 保険者は、指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって家族訪問看護療養費に関する費用の支払いを受けたときは、当該指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R3年出題】 

 指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができます。

 

 

⑤【H26年出題】

 保険者は、指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって訪問看護療養費の支払いを受けたときは、当該指定訪問看護事業者に対し、その支払った額についてのみ返還させることができ、その返還額に一定割合を乗じて得た額を支払わせることはできない。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H26年出題】 ×

 その支払った額について返還させるほか、その返還額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができます。 

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