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社会保険労務士合格研究室

 労災保険法「事業主からの費用徴収」

R7-226 04.11

事業主からの特別の費用徴収「故意・重大な過失」の認定

 一定の要件に該当する事故については、事業主の注意を促すために、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができます。

 

 条文を読んでみましょう。

31条第1

 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあっては労働基準法の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、複数業務要因災害に関する保険給付にあっては複数業務要因災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額(当該複数業務要因災害に係る事業ごとに算定した額に限る。)の限度で、通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部事業主から徴収することができる

1) 事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間(政府が認定決定をしたときは、その決定後の期間を除く。)中に生じた事故

2) 事業主が一般保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後の期間に限る。)中に生じた事故

3) 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

 

 

過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 政府が保険給付を行ったとき、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収できる事故として、正しいものはどれか。

A> 事業主が重大でない過失により、保険関係の成立につき、保険関係が成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届出していない期間中に生じた事故

B> 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき一般保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故

C> 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき一般保険料を納付し、その後、重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

D> 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第一種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故

E> 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第二種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】

A> ×

 保険関係成立届を提出していない期間中に生じた事故でも、「重大でない過失」の場合は、費用徴収されません。

B> ×

 一般保険料を納付しない期間中に生じた事故について費用徴収が行われるのは、「督促状に指定する期限後の期間」に限られます。政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故については、費用徴収されません。

C> 〇

 事業主が重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故については、費用徴収が行われます。

D> ×

 「第一種特別加入保険料」を納付しない期間中に生じた事故は、費用徴収の対象になりません。特別加入者の場合は、「支給制限」の対象になります。(法第34条)

E> ×

 <D>と同じく、特別加入者の場合は、「支給制限」の対象になります。(法第35

 

 

②【R1年選択式】

 労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下本問において「保険関係成立届」という。)の提出が行われていない間に労災事故が生じた場合において、事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していなかった場合は、政府は保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 事業主がこの提出について、所轄の行政機関から直接指導を受けていたにもかかわらず、その後< A >以内に保険関係成立届を提出していない場合は、故意が認定される。事業主がこの提出について、保険手続に関する行政機関による指導も、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合による加入勧奨も受けていない場合において、保険関係が成立してから< B >を経過してもなお保険関係成立届を提出していないときには、原則、重大な過失と認定される。

<選択肢>

A> ① 3日  ② 5日  ③ 7日  ④ 10

B> ① 3か月  ② 6か月  ③ 9か月  ④ 1年

 

 

 

 

【解答】

A> 10

B>  1年

ポイント!

① 事業主の故意の認定

 保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがある事業主であって、その提出を行っていないものについては、故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

② 事業主の重大な過失の認定

 保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立日以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とする。費用徴収率は40%とする。

(令5.7.20基発第0720第1号)

 

 

③【H27年出題】

 事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

 

 

 

 

【解答】

③【H27年出題】 〇

 保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定され、原則、費用徴収率は100%となります。

(令5.7.20基発第0720第1号)

 

 

④【H27年出題】

 事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、加入勧奨を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H27年出題】 〇

 加入勧奨を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定され、原則、費用徴収率は100%となります。

(令5.7.20基発第0720第1号)

 

 

⑤【H27年出題】

 事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収率を40%とする。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 〇

 保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定され、費用徴収率は40%となります。

(令5.7.20基発第0720第1号)

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