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社会保険労務士合格研究室

  健康保険法「療養費」

R7-232 04.17

【健保】療養費(現金給付)が支給されるとき

 健康保険は、『現物給付』が原則です。

 しかし、現物給付を行うことが困難であると認めるときなどは、その費用について、現金で「療養費」が支給されます。

 

 「療養費」が支給される要件などをみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

87条第1項、第2項 (療養費)

① 保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下「療養の給付等」という。)行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる

② 療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)について算定した費用の額から、一部負担金の割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額基準として、保険者が定める

 

「療養費」が支給されるのは以下の2つの場合です。

① 「療養の給付等」を行うことが困難であると保険者が認めるとき

② 被保険者が保険医療機関等以外の病院等から診療等を受けた場合で、保険者がやむを得ないものと認めるとき

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)について算定した費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額を基準として、保険者が定める。

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)について算定した費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額を「基準として、保険者が定める。」の部分がポイントです。

 

 

②【R1年出題】

 保険者は、訪問看護療養費の支給を行うことが困難であると認めるときは、療養費を支給することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

 療養費が支給されるのは、「療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下「療養の給付等」という。)行うことが困難であると認めるとき」、又は「被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるとき」です。

 「訪問看護療養費の支給を行うことが困難」であるのは、どちらにも該当しませんので、療養費は支給されません。

 

 

③【H27年出題】

 被保険者が無医村において、医師の診療を受けることが困難で、応急措置として緊急に売薬を服用した場合、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養費の支給を受けることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H27年出題】 〇

 無医村で応急措置として緊急に売薬を服用した場合は、「保険者がやむを得ないものと認めるとき」に該当しますので、療養費の支給を受けることができます。

(昭13.8.20社庶1629

 

 

 

 

 

④【R5年出題】

 現に保険医の診療が不評だからとの理由によって、保険診療を回避して保険医以外の医師の診療を受けた場合には、療養費の支給は認められない。

 

 

 

 

【解答】

④【R5年出題】 〇

「その地方に保険医がいない場合又は保険医はいても、その者が傷病等のために、診療に従事することができない場合」等には、療養費の支給が認められます。

・緊急疾病で他に適当な保険医が居るにかかわらず、好んで保険医以外の医師について診療又は手当を受けた時には、療養費は支給されません。

・現に保険医の診療が不評だからとの理由によって、保険診療を回避して保険医以外の医師の診療を受けた場合には、療養費の支給は認められません。

(昭24.6.6保文発1017号)

 

 

⑤【R5年出題】

 現に海外にいる被保険者からの療養費の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わない。

 

 

 

 

【解答】

⑤【R5年出題】 〇

★海外において療養を受けた場合の療養費等の支給について

・療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付しなければなりません。

・療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載しなければなりません。

・現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないこととされています。

・現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行うこととされています。

・ 海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いることとされています。

(昭56.2.25保険発第10号・庁保険発第2)

 

 

⑥【H27年出題】

 現に海外に居住する被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主を経由して行うこととされている。また、その支給は、支給決定日の外国為替換算率(買レート)を用いて海外の現地通貨に換算され、当該被保険者の海外銀行口座に送金される。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H27年出題】 ×

 現に海外に居住する被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主を経由して行うこととされています。

 その支給は、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて換算されます。その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないこととされています。

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