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社会保険労務士合格研究室

  労災保険法「支給制限と費用徴収の違い」

R7-239 04.24

特別加入者に対する支給制限

労災保険の特別加入者は次の3種類です。

■中小事業主等

■一人親方その他の自営業者・特定作業従事者

■海外派遣者

 

 特別加入者の「支給制限」について条文を読んでみましょう。

法第34条第1項第4

中小事業主及びその事業に従事する者の事故が第1種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が中小事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるときも、同様とする。

 

法第35条第1項第7

一人親方その他の自営業者・特定作業従事者の事故が、第2種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

法第36条第1項第3

海外派遣者の事故が、第3種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

ポイント!

「労働者」との違いに注意しましょう。

★労働者の場合

 事業主が一般保険料(=労働者の保険料)を納付しない期間中に生じた事故については、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を「事業主から徴収することができる。」とされています。労働者の保険給付の支給を制限するのではなく、事業主から費用徴収します。

★特別加入者の場合

 特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、費用徴収ではなく、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる」と支給制限が行われます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H26年出題】(※問題文修正しています)

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第一種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったとき、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収できる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」となります。

 事業主からの費用徴収ではなく、支給制限が行われます。

 ちなみに、支給制限の対象になるのは、「督促状の指定期限の翌日以後に生じた事故」です。

 

 

②【H26年出題】(※問題文修正しています)

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第二種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったとき、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収できる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 ×

 第二種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」となります。

 事業主からの費用徴収ではなく、支給制限が行われます。

 ちなみに、支給制限の対象になるのは、「督促状の指定期限の翌日以後に生じた事故」です。

 

 

③【R3年出題】

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定された。その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、政府は、その業務災害と認定された者に対して保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】 ×

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定され、その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」となります。

 事業主からの費用徴収ではありません。

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