合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

  労働基準法「割増賃金」

R7-240 04.25

時間外、休日、深夜労働の割増率

 時間外労働、休日労働、深夜労働させた場合は、割増賃金を支払わなければなりません。

 今回は、「割増率」をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

法第37条第1項、第4項 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

① 使用者が、第33条(災害等による臨時の必要がある場合)又は第36条第1項の規定(36協定)により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 ただし、当該延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

④ 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

割増賃金率(第37条、時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)

時間外労働

2割5分以上

5割以上(1か月60時間を超えた場合)

休日労働

3割5分以上

深夜労働

2割5分以上

 

・深夜労働と時間外又は休日労働が重なる場合

則第20

① 時間外労働午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6)までの間に及ぶ場合は、 5割以上(その時間の労働のうち、1か月について60時間を超える時間外労働に係るものについては、7割5分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

② 休日の労働時間午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に及ぶ場合は、6割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 休日労働が、8時間を超え、深夜業に該当しない場合の割増賃金は、休日労働と時間外労働の割増率を合算しなければならない。

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 休日労働が、8時間を超えても、深夜業に該当しない場合は、休日労働のみの割増率(35分増)となります。時間外労働の割増率は合算する必要はありません。

H11.3.31基発168号)

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働時間に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 日  月  火  水  木  金  土

 休  6  6  6  6  6  6

 労働日における労働時間は全て 

  始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩;午後1時から1時間

 

A> 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

 

 

 

 

【解答】

A> ×

 日曜の10時間の労働については、深夜業に該当しなければ、時間外労働の割増率は加算する必要はありません。8時間を超えた2時間も含めて、休日労働に対する割増率のみで構いません。

H11.3.31基発168号)

 

 

B> 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

 

 

 

 

【解答】

B> ×

 「法定休日」の割増賃金率は、「暦日単位」で適用されます。

 そのため、問題文の場合、休日割増賃金の対象になるのは、日曜日の午後12時までです。月曜の午前0時以降は、休日割増賃金を支払う義務はありません。

H6.5.31基発331号)

0時

日曜(法定休日)

休日割増

月曜(平日)

 

 

 

C> 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

 

 

 

 

【解答】

C> 〇

 時間外労働が引き続き翌日の所定労働時間に及んだ場合は、「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して、割増賃金を支払えば法第37条の違反にならない」とされています。

 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、日付が変わっても月曜の超過勤務時間となります。

 

 

D> 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

 

 

 

 

【解答】

D> ×

 「法定休日」の割増賃金率は、「暦日単位」で適用されます。

 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前0時以降は休日労働の割増賃金で計算しなければなりません。

H11.3.31基発168号)

 

 

E> 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

 

 

 

 

【解答】

E> ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間

2時間

 

4時間

 

 

 

8時間

 

 

8時間

 

 

6時間

 

6時間

 

6時間

 

 

 

6時間

 

木曜 → 時間外労働2時間(8時間を超えた分)

金曜 → 時間外労働2時間(8時間を超えた分)

土曜 → 時間外労働4時間(週の通算労働時間が44時間(木・金のそれぞれ2時間の時間外は除きます)となるので、40時間を超えた分)

 

 

③【H23年出題】

 労働基準法第33条又は第36条に規定する手続を経ずして時間外又は休日労働をさせた場合においても、使用者は、同法第37条第1項に定める割増賃金の支払義務を免れない。

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】

 労働基準法第33条又は第36条に規定する手続を経ない時間外又は休日労働は違法です。

 ただし、法定労働時間を超えた場合、又は休日労働させた場合は割増賃金を支払わなければならないため、違法な時間外労働・休日労働をさせた場合でも、使用者は、割増賃金の支払義務は免れません。

社労士受験のあれこれ