R3-248
労働基準法の「平均賃金」は、原則として『算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額』÷『その期間の総日数』で計算します。
今日のテーマは、「算定すべき事由の発生した日」についてです。
なお、「平均賃金」は、解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇の賃金、災害補償、減給制裁の際に使われます。
では、どうぞ!
①<H27年出題>
労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。
②<H25年出題>
労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。
③<H30年出題>
労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。
④<H16年出題>
労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。
【解答】
①<H27年出題> ×
災害補償の場合、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日」となります。
(施行規則第48条)
②<H25年出題> ×
③<H30年出題> ×
労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」です。
(昭30.7.19 29基収5875号)
④<H16年出題> 〇
解雇予告手当を算定する場合の「算定すべき事由の発生した日」は、労働者に解雇の通告をした日です。
(昭39.6.12 36基収2316号)
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⑤<H27年出題>
賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば7月31日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である6月30日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。
【解答】 〇
ポイント!
①条文では、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間」となっていますが、事由の発生した日の前日から遡ると解されています。
問題文の場合、7月31日に算定事由が発生していますので、前日の7月30日から遡ります。
②ただし、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算することになっています。問題文の場合、7月30日の直前の賃金締切日は6月30日となります。
(第12条)
社労士受験のあれこれ