R4-147
健康保険は、個人ごとに加入するのではなく、「事業所単位」で適用を受けます。
健康保険の適用を受ける事業所を「適用事業所」といい、強制的に適用される「強制適用事業所」と、厚生労働大臣の認可を受けて任意に適用を受ける「任意適用事業所」があります。
強制でも任意でも「適用事業所」に使用される者は、健康保険の被保険者となります。
今日は、「強制適用事業所」の要件をみていきます。
強制適用事業所は、法第3条で以下のように規定されています。
① 法定16業種の事業を行っている事業所で、常時5人以上の従業員を使用するもの (個人経営の事業所) ② 国、地方公共団体又は法人の事業所で、常時従業員を使用するもの |
問題を解くときに最初にチェックするポイントは「個人経営」?それとも「法人」?です。
「法人」なら、業種関係なく、常時1人でも従業員がいれば強制適用事業所です。
「個人経営」なら、法定16業種か否か、5人以上か5人未満で、適用が変わります。
| 個人経営 | 法人 | ||
従業員数 | 5人以上 | 5人未満 | 1人以上 | |
業種 | 法定16業種 | 〇 | × | 〇 |
法定16業種以外 | × | × | 〇 |
〇の事業所が強制適用事業所です。
×の事業所は強制適用ではありませんが、任意で加入することができます。
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
常時10人の従業員を使用している個人経営の飲食業の事業所は強制適用事業所とはならないが、常時3人の従業員を使用している法人である土木、建築等の事業所は強制適用事業所となる。
②【R1年出題】
代表者が1人の法人の事業所であって、代表者以外に従業員を雇用していないものについては、適用事業所とはならない。
③【H24年出題】
健康保険法では常時5人以上の従業員を使用している事業所を適用事業所としているが、事業所における従業員の員数の算定においては、当該事業所に常時雇用されている者であっても、適用除外の規定によって被保険者とすることができない者は除かれる。
【解答】
①【H23年出題】 〇
・常時10人の従業員を使用している個人経営の飲食業の事業所
→飲食業は法定16業種以外の業種ですので、個人経営の場合は人数に関係なく、強制適用事業所になりません。
・常時3人の従業員を使用している法人である土木、建築等の事業所
→法人の場合は、業種に関係なく、常時従業員が1人でもいれば、強制適用事業所です。
(法第3条)
②【R1年出題】 ×
法人の代表者は、法人に使用される者として、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。
法人の場合は、常時1人以上の従業員がいれば強制適用です。代表者1人の法人でも強制適用事業所になります。
(昭24.7.28保発第74号)
③【H24年出題】 ×
適用除外の規定で被保険者になることができない者でも、常時雇用されている者なら、「常時5人以上」の人数に算入されます。
(昭18.4.5保発905号)
もう1問どうぞ!
④【R1年出題】
国に使用される被保険者であって、健康保険法の給付の種類及び程度以上である共済組合の組合員であるものに対しては、同法による保険給付を行わない。
【解答】
④【R1年出題】 〇
健康保険法第3条では、「国、地方公共団体又は法人の事業所で、常時従業員を使用するもの」は強制適用事業所です。
国、地方公共団体も健康保険の強制適用事業所になることに注意してください。
共済組合の組合員は、同時に健康保険の被保険者でもあります。(適用除外されていません。)
ただし、法第200条で、「国に使用される被保険者、地方公共団体の事務所に使用される被保険者又は法人に使用される被保険者であって共済組合の組合員であるものに対しては、この法律による保険給付は、行わない。」と規定されています。
共済組合と健康保険の両方から二重に保険給付を受けるのではなく、共済組合の組合員には健康保険の保険給付を行わないことになっています。なお、保険料も徴収されません。
(法第200条)
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