R4-149
前回の続きです。
20歳前傷病による障害基礎年金は、保険料を負担していない人に対して支給する福祉的な意味のある年金です。
そのため、通常の障害基礎年金とは違う理由で支給停止されます。
条文を読んでみましょう。
第36条の2 第30条の4の規定による障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するとき(第2号及び第3号に該当する場合にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、その該当する期間、その支給を停止する。
1 恩給法に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき。 2 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。 3 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。 4 日本国内に住所を有しないとき。 |
ポイント!
「第30条の4の規定による障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)」限定の支給停止事由です。
過去問をどうぞ!
①【H20年出題】
障害基礎年金(いわゆる20歳前の障害に基づくものを除く。)は、その受給権者が当該傷病による障害について、労働者災害補償保険法の規定による障害補償年金を受けることができるときであっても、その支給は停止されない。
②【R1年出題】
20歳前傷病による障害基礎年金を受給中である者が、労災保険法の規定による年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合、その該当する期間、当該20歳前傷病による障害基礎年金は支給を停止する。
③【H25年出題】
労働者災害補償保険法による年金たる給付の受給権者であってその全額が支給停止されているときは、20歳前傷病による障害基礎年金は支給停止されない。
④【R3年出題】
国民年金法第30条第1項の規定による障害基礎年金は、受給権者が刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているときには、その該当する期間、その支給が停止される。
⑤【H30年出題】
20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者が少年法第24条の規定による保護処分として少年院に送致され、収容されている場合又は売春防止法第17条の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合は、その該当する期間、その支給を停止する。
⑥【H25年出題】
国民年金法第30条の4に規定する20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者が日本国内に住所を有しないときは支給停止される。
【解答】
①【H20年出題】 〇
労災保険法の障害補償年金を受けることができるときに支給停止されるのは、20歳前の障害に基づく障害基礎年金だけです。
問題文は「いわゆる20歳前の障害に基づくものを除く」となっています。通常の障害基礎年金について問われているので、「その支給は停止されない」で〇です。
②【R1年出題】 〇
「20歳前傷病による障害基礎年金」は、労災保険法の年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合は、その期間、支給停止されます。
なお、条文の「労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付」に注目してください。調整の対象は「年金」で、「障害」の年金に限られません。
③【H25年出題】 〇
②の問題のように20歳前傷病による障害基礎年金は、「労災保険法の年金たる給付を受給できる場合」は、その期間、支給停止されます。
ただし、労災保険法による年金たる給付の「全額が支給停止されているとき」は、20歳前傷病による障害基礎年金は原則として支給停止されません。
(法第36条の2第2項)
④【R3年出題】 ×
刑事施設、労役場等の施設に拘禁されているときに、支給が停止されるのは、第30条の4の障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)です。
問題文は、法第30条第1項の規定による障害基礎年金(通常の障害基礎年金)について問われているので、刑事施設、労役場等の施設に拘禁されている間も、支給停止にはなりません。
⑤【H30年出題】 〇
問題文の施設に収容されている間は、20歳前傷病による障害基礎年金は、支給停止されます。
(則第34条の4)
⑥【H25年出題】 〇
「30条の4に規定する20歳前傷病による障害基礎年金」について問われているので、「日本国内に住所を有しない」ときは支給停止される、で正解です。
次回に続きます。
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