R4-151
障害の程度は、重くなったり軽くなったりすることがあります。その場合は、年金額が増額改定されたり、減額改定されます。又、障害等級に該当しなくなった場合は支給停止されます。
改定の方法として、「実施機関の職権による改定」、「障害の程度が増進したことによる改定請求」、「その他障害による併合改定」があります。
まず、「実施機関の職権による改定」を条文で読んでみましょう。
第52条 ① 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。 |
実施機関が障害の程度を診査して、職権で障害厚生年金の額を改定することができます。
改定が行われた場合は、改定が行われた月の翌月から、改定後の額による障害厚生年金の支給が始まります。
さて、今回は、「障害の程度が増進したことによる改定請求」をメインにお話します。
第52条の条文の続きを読んでみましょう。
第52条 ② 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。 ③ ②の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は①の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。 |
障害の程度が増進した場合は、障害厚生年金の額の改定請求ができます。
改定請求は、原則として1年待たなければなりません。
「障害厚生年金の受給権を取得した日」
又は
「実施機関の診査を受けた日」
から起算して1年を経過した日後でなければ、行うことができません。
しかし、「障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合」は、例外的に1年を経過しなくても額の改定請求をすることができます。
「障害厚生年金の受給権を取得した日」又は「実施機関の診査を受けた日」のどちらか遅い日以降に、例えば、「両眼の視力の和が0.04以下のもの」に該当した場合等は、1年を経過していなくても、改定請求ができます。(施行規則第47条の2の2)
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
障害厚生年金の受給権者が障害厚生年金の額の改定の請求を行ったが、診査の結果、その障害の程度が従前の障害の等級以外の等級に該当すると認められず改定が行われなかった。この場合、当該受給権者は実施機関の診査を受けた日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ再び改定の請求を行うことはできない。
②【H27年出題】
40歳の障害厚生年金の受給権者が実施機関に対し障害の程度が増進したことによる年金額の改定請求を行ったが、実施機関による診査の結果、額の改定は行われなかった。このとき、その後、障害の程度が増進しても当該受給権者が再度、額の改定請求を行うことはできないが、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合については、実施機関による診査を受けた日から起算して1年を経過した日後であれば、再度、額の改定請求を行うことができる。
【解答】
①【R2年出題】 ×
1年6か月ではなく「1年」です。
実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後なら、再び改定の請求を行うことができます。
②【H27年出題】 ×
・その後、障害の程度が増進した場合
→ 実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後なら、再度、額の改定請求を行うことができます。(「再度、額の改定請求を行うことはできない」の部分が誤りです。)
・障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合
→ 実施機関による診査を受けた日から起算して1年を経過しなくても、額の改定請求ができます。
次回に続きます。
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