R4-163
前回お話したように、障害基礎年金には「子」の加算額が加算されます。
「配偶者」は「障害厚生年金」の加給年金額の対象になります。
今回は、障害厚生年金の加給年金額がテーマです。
★では、条文を確認しましょう。
第52条の2 ① 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金に加給年金額を加算した額とする。 ② 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とする。 ③ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。 |
ポイント!
・ 加給年金額が加算されるのは、1級又は2級の障害厚生年金です。
3級の障害厚生年金には加給年金額は加算されません。
・ 対象は65歳未満の配偶者です
・ 加給年金額は「224,700円×改定率」です。老齢厚生年金の配偶者加給年金額に は、特別加算がプラスされますが、障害厚生年金の加給年金額には特別加算はつきません。
・ 受給権を取得した日の翌日以後に、対象になる配偶者を有することに至った場合でも加給年金額は加算されます
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、加給年金額を加算した額とする。
②【H29年出題】
障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。
【解答】
①【H22年出題】 〇
加給年金額が加算される障害厚生年金は、「障害等級1級又は2級」です。対象は、「65歳未満」の配偶者です。年齢にも注意してください。
②【H29年出題】 〇
受給権を取得した日の翌日以後に対象の配偶者を有するに至った場合でも加給年金額は加算されます。その場合は、配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、加給年金額が加算されます。
(障害基礎年金の子の加算と同じです。→ (参考)前回の記事をどうぞ)
次はこちらをどうぞ!
③【R1年出題】
加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。
④【H20年出題】
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額に加算されている配偶者の加給年金額は、配偶者の生年月日にかかわらず、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月分から加算されなくなる。
【解答】
③【R1年出題】 〇
加給年金額は、次のどれかに該当するに至ったときは、加算がなくなります。
1 死亡したとき。
2 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
3 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。
4 配偶者が、65歳に達したとき。
問題文の場合は4に当てはまります。その該当するに至った月の翌月から加給年金額が加算されなくなります。
なお、「大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。」の部分もポイントです。「大正15年4月1日以前に生まれた者」は旧法の対象者で、新法の老齢基礎年金が支給されません。ですので、振替加算も行われません。
「大正15年4月1日以前に生まれた者」は、65歳以降も加給年金額の対象となります。
(法第50条の2第4項)
④【H20年出題】 ×
「配偶者の生年月日にかかわらず」が誤りです。
配偶者が「大正15年4月1日以前生まれ」の場合は、配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月からも加給年金額が加算されます。
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