R4-191
1年単位の変形労働時間制を導入する場合の労働時間の総枠のルールについてお話しします。
条文を読んでみましょう。
第32条の4 (1年単位の変形労働時間制) 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。 1 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲 2 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする。) 3 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。) 4 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間) 5 その他厚生労働省令で定める事項(有効期間の定め) |
今回は、「対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内」の部分に注目します。
労働時間の総枠の考え方です。
対象期間を平均して1週間当たりの労働時間を40時間とするための規定です。
対象期間中の労働時間が、40時間×対象期間の暦日数÷7の範囲内に収まれば、平均すると1週間当たり40時間となります。
例えば、対象期間を1年(365日)とした場合は、
40時間×365÷7≒2085.71時間です。1年間の所定労働時間の総枠は2085.71時間となります。1年間の所定労働時間のトータルを2085.71時間以内に設定すれば、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内になります。
なお、1か月単位の変形労働時間制は、第32条の2で「1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない」ことと規定されています。
「40時間」ではなく「法定労働時間」となっているのがポイント。総枠の計算式は、40時間(特例事業場は44時間)×変形期間の暦日数÷7となります。
1年単位には「44時間」の特例が適用されないので、対象期間の労働時間の総枠は「40時間」を使って計算します。一方、1か月単位には「44時間」の特例が適用されますので、労働時間の総枠は40時間又は44時間で計算します。違いに注意してください。
では、過去問をどうぞ!
【H28年出題】
労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制の対象期間は、1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。
【解答】
【H28年出題】 〇
対象期間は、「その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする。」と定義されていますので、3か月や6か月でもよいです。
なお、労働時間の総枠は
6か月(例えば183日)の場合は、40時間×183日÷7≒1,045.71時間
3か月(例えば92日)の場合は、40時間×92日÷7≒525.71時間
となります。
次回も1年単位の変形労働時間制です。
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