R4-197
不正行為で労災の保険給付を受けた場合、保険給付に要した費用の全部又は一部が回収されます。
条文を読んでみましょう。
第12条の3 (不正受給者からの費用徴収) ① 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。 ② ①の場合において、事業主(徴収法第8条第1項又は第2項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該元請負人。)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して①の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。 |
政府は、不正受給者から、保険給付に要した費用の全部又は一部を回収することができます。
また、不正受給に事業主が加担している場合は、政府は、事業主にも連帯して、保険給付に要した費用の全部または一部の納付を命ずることができます。
過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
②【R2年出題】
偽りその他不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があり、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯してその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部である徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
③【H22年出題】
偽りその他不正の手段により労災保険の保険給付を受けた者がある場合において、その保険給付が事業主の虚偽の報告又は証明をしたために行われたものであるときは、保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。
【解答】
①【H27年出題】 〇
回収の対象になるのは、「不当利得」した部分に限られるのがポイントです。
「保険給付」に要した費用に相当する金額の全部又は一部に注目してください。「不当利得分」の全部又は一部ではありません。
保険給付の全部を不正受給した場合は全部が徴収の対象になりますし、保険給付の一部を不正受給した場合はその不当利得部分は全て徴収の対象になります。
(昭40.7.31基発906号)
②【R2年出題】 〇
事業主にも連帯して責任を負わせるための規定です。
③【H22年出題】 ×
政府は、不正受給者から、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収することができ、また、事業主が虚偽の報告又は証明をし、不正受給に加担している場合は、事業主に対して不正受給者と連帯して納付を命ずることができます。
「保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。」は誤りです。
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