R4-222
厚生年金保険の保険料は「標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額」です。
被保険者と事業主が半額ずつ負担し、事業主が納付義務を負います。
では、条文を読んでみましょう。
第82条 (保険料の負担及び納付義務) ① 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。 ② 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。 ③ 被保険者が同時に2以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。 ④ 第2号厚生年金被保険者についての①の規定の適用については、①の「事業主は」とあるのは、「事業主(国家公務員共済組合法に規定する職員団体その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。 ⑤ 第3号厚生年金被保険者についての①の規定の適用については、①の「事業主は」とあるのは、「事業主(市町村立学校職員給与負担法の規定により給与を負担する都道府県その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。 |
例えば、標準報酬月額が41万円の場合、厚生年金保険料は7万5,030円(41万円×1000分の183)で、被保険者と事業主がそれぞれ3万7515円ずつ負担します。
事業主は、被保険者負担分と事業主負担分を合わせた7万5030円を納付する義務を負います。
さて、今日の過去問は、「2か所以上の事業所に使用される被保険者の保険料」です。
先に、2か所で厚生年金保険に加入している被保険者の標準報酬月額の決定のルールを確認しておきましょう。
法第24条第2項で、「同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、定時決定、資格取得時の決定、随時改定、育児休業を終了した際の改定若しくは産前産後休業を終了した際の改定又は保険者算定の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。」とされています。
例えば、A社とB社で厚生年金保険の被保険者となっている場合、A社の「報酬月額」とB社の「報酬月額」の合算額がその者の報酬月額となります。その合算した報酬月額で標準報酬月額が決定されます。
A社とB社の標準報酬月額を合算ではありませんので、注意してください。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は、各事業所について算定した報酬月額を当該被保険者の報酬月額で除し、それにより得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じた額とする。
②【H30年出題】
被保険者が厚生年金保険法第6条第1項第3号に規定する船舶に使用され、かつ、同時に事業所に使用される場合においては、船舶所有者(同号に規定する船舶所有者をいう。以下同じ。)以外の事業主は保険料を負担せず、保険料を納付する義務を負わないものとし、船舶所有者が当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、当該保険料及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負うものとされている。
【解答】
①【H28年出題】 〇
被保険者が2以上の適用事業所に使用される場合、それぞれの事業主が負担する保険料についての問題です。
それぞれの事業所の「報酬月額」で按分します。「標準報酬月額」ではないのでご注意ください。
按分割合は「各事業所について算定した報酬月額」÷「当該被保険者の報酬月額」です。
各事業主が負担する保険料は「当該被保険者の保険料の半額」×按分割合です。
なお、各事業主が納付する保険料は、「各事業主が負担すべき保険料+これに応ずる被保険者が負担すべき保険料」となります。
(令第4条第1項)
例えば、被保険者がA事業所とB事業所で被保険者になっている場合の報酬月額は下の図のようなイメージです。
被保険者の報酬月額(A+B) | |
A事業所の報酬月額 | B事業所の報酬月額 |
A事業主の負担割合は、A÷(A+B)です。
②【H30年出題】 〇
被保険者が船舶と同時に船舶以外の事業所に使用される場合の保険料の負担と納付について
・当該被保険者に係る保険料の半額を負担し納付する義務を負うのは「船舶所有者」で、「船舶所有者以外の事業主」は保険料を負担、保険料を納付する義務は負いません。
(令第4条第4項)
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