R4-260
労働契約には、「期間の定めのない労働契約」と「期間の定めのある労働契約」があります。
「期間の定めのない労働契約」は、労働者側からいつでも自由に解約できますので、労働基準法上の制限はありません。
一方、「期間の定めのある労働契約」は、契約期間中は原則として解約できません。例えば、契約期間を20年にすると、20年の間、労働者は退職できず、長期にわたり労働者を拘束することになってしまいます。そのため、労働基準法では、「期間の定めのある労働契約」は、原則として最長3年という制限を設けています。
では、条文で確認しましょう。
第14条 (契約期間等) 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。 1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約 2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。) |
<有期労働契約のポイント!>
★原則 → 3年を超えてはならない
☆例外その1・・・3年を超えて契約できるもの
・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの
例えば、土木工事の事業で、その工事の終期までの期間を定める契約
・職業訓練のための訓練期間(第70条)
☆例外その2・・・5年まで契約できるもの
・専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)
・満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
過去問をどうぞ!
①【H16年出題】
労働基準法第14条第1項では、労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(弁護士、社会保険労務士等に係る労働契約で同項第1号に該当するもの、又は同項第2号に該当するものについては5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。この労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年となる。
②【H23年出題】
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労働基準法第14条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならず、また、期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。
【解答】
①【H16年出題】 〇
労働基準法第13条で、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」と規定されています。
第14条違反には第13条が適用され、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。ですので、問題文の労働契約の期間は、「同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年」となります。
(法第13条、平15.10.22第1022001号)
②【H23年出題】 ×
有期労働契約の更新は可能です。更新による継続雇用期間については制限はありません。
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