R4-261
前回の続きです。
有期労働契約は、労働者を長期に拘束することを避けるため、原則3年以内と定められています。
ただし、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」は、例外的に、3年を超える契約が認められています。
また、「専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)」、「満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約」は、最長5年までの契約期間が認められています。
今回は、「5年」が認められる要件をみていきましょう。
では、再度第14条を読んでみましょう。
第14条 (契約期間等) 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。 1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約 2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。) |
「高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準」の中には、「社会保険労務士の資格を有する者」も入っています。
ただし、社会保険労務士の国家資格を有しているだけでは足りず、「当該国家資格の名称を用いて当該国家資格に係る業務を行うことが労働契約上認められている等」が必要です。(H15.10.22基発第10220001号)
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。
②【H18年選択式】
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(一定の労働契約については5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。そこで、例えば、システムエンジニアの業務に就こうとする者であって、一定の学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業し、就こうとする業務に一定期間以上従事した経験を有し、かつ、労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を1年当たりの額に換算した額が< A >ものとの間に締結される労働契約にあっては、5年とすることができる。
③【H25年出題】
使用者は、満60歳以上の労働者との間に、5年以内の契約期間の労働契約を締結することができる。
④【H29年出題】
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約について、労働契約期間の上限は当該労働者が65歳に達するまでとされている。
⑤【H30年出題】
労働基準法第14条第1項第2号に基づく、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年となる。
【解答】
①【H28年出題】 〇
契約期間を5年とする労働契約を締結できる「専門的知識等であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」は、「当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者」に限られます。
(法第14条第1項第1号)
②【H18年選択式】
A 1075万円を下回らない
一定の学歴と実務経験を有し、年収が1075万円以上である「システムエンジニアの業務に就こうとする者」との間に締結される労働契約は最長5年とすることができます。
(高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準 H15.10.22厚生労働省告示第356号)
③【H25年出題】 〇
満60歳以上の労働者との間の労働契約の契約期間は最長5年です。
(法第14条第1項第2号)
④【H29年出題】 ×
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の契約期間の上限は5年です。65歳に達するまでという規定はありません。
⑤【H30年出題】 ×
「満60歳以上」の労働者との間に締結される労働契約ですので、第14条に定める契約期間に違反し同法第13条の規定が適用された場合、当該労働契約の期間は3年ではなく「5年」となります。
労働基準法第13条も確認しておきましょう。
「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」
第13条が適用されると、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。
(平15.10.22第1022001号)
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