R4-263
前回の続きです。
労働者を解雇する場合は、30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりませんが、予告などが除外される例外があります。
条文を読んでみましょう。
第20条 (解雇の予告) ① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。 ② ①の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。 ③ 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。 ※前条第2項 → その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。 |
解雇予告等が除外される場合
① 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
② 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
※①②ともに「所轄労働基準監督署長の認定」を受けなければなりません。
「天災事変その他やむを得ない事由」
→ 事業場が火災により焼失・震災に伴う事業場の倒壊など
「労働者の責に帰すべき事由」
→ 盗取、横領、傷害など
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。
②【R2年出題】
使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。
③【H18年出題】
労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。
④【H24年出題】
労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。
【解答】
①【H23年出題】 〇
「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」でも、予告手当無しで即時解雇しようとする場合には、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ける必要があります。
②【R2年出題】 ×
事業場が火災により焼失した場合は、「天災事変その他やむを得ない事由」に該当しますが、「使用者の重過失」に基づく場合は、除かれます。
(昭63.3.14基発第150号)
③【H18年出題】 〇
解雇予告除外認定は、解雇の意思表示をする前に受けることが原則です。
解雇予告除外認定は、ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分です。認定されるべき事実がある場合は、仮に認定を受けなかったとしても、使用者は有効に即時解雇ができる点がポイントです。
即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が「即時解雇の意思表示をした日」に発生するとされています。「解雇予告除外認定を得た日」ではありませんので、注意してください。
(昭63.3.14基発150号)
④【H24年出題】 ×
解雇の意思表示の後に解雇予告除外認定を受けたとしても、認定されるべき事実がある場合は、有効に即時解雇ができるとされています。即時解雇の効力は、「当該認定のあった日」ではなく、「即時解雇の意思表示をした日」に発生します。
(昭63.3.14基発150号)
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