R4-270
労働保険の保険料は、保険年度当初に概算で申告・納付し、保険年度が終了してから確定精算する仕組みになっています。(継続事業の場合)
しかし、年度の途中で、事業規模が拡大したなどの理由で、賃金総額の見込額が増加し、一定の要件に当てはまった場合は、「増加概算保険料」を申告・納付することになっています。
今回のテーマは「増加概算保険料」です。
さっそく過去問をどうぞ!
①【H23年出題(労災)】
労災保険に係る保険関係のみ成立していた事業の事業主は、労災保険及び雇用保険の両保険に係る保険関係が成立する事業に該当するに至ったため、一般保険料に係る保険料率が変更した場合において、当該変更後の保険料率に基づいて算定した概算保険料の額が、既に納付した概算保険料の額の100分の200を超え、かつ、その差額が13万円以上であるときは、増加概算保険料を申告・納付しなければならない。
②【H23年出題(労災)】
継続事業の事業主は、労働者数の増加等により、概算保険料の算定に用いる賃金総額の見込額が、既に納付した概算保険料の算定基礎とした賃金総額の見込額に比べて増加することとなり、増加概算保険料の納付の要件に該当するに至った場合は、当該賃金総額の増加が見込まれた日から30日以内に増加概算保険料の申告・納付を行わなければならないが、有期事業の事業主の場合であっても、申告・納付の期限は同じである。
③【H22年出題(労災)】
継続事業の事業主は、増加概算保険料について延納を申請した場合には、増加前の概算保険料を延納していないときであっても、増加後の概算保険料の額が40万円を超えるときは、当該増加概算保険料を延納することができる。
【解答】
①【H23年出題(労災)】 〇
増加概算保険料の申告・納付の要件は、以下の2つです。
1 労働者数の増加等によって、概算保険料の算定に用いる賃金総額の見込額が増加した
→ 増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上である
2 労災保険に係る保険関係のみ成立している事業又は雇用保険に係る保険関係のみ成立している事業が労災保険及び雇用保険の両保険に係る保険関係が成立する事業に該当するに至ったため一般保険料率が変更した
→ 変更後の一般保険料率に基づき算定した概算保険料の額が既に納付した概算保険料の額の100分の200を超え、かつ、その差額が13万円以上であることとする。
問題文は2に該当しますので、増加概算保険料の申告・納付が必要です。
(法第16条、則第25条、法附則第5条、則附則第4条)
②【H23年出題(労災)】 〇
増加概算保険料の申告・納付の期限は、継続事業も有期事業も同じです。賃金総額の増加が見込まれた日から30日以内です。
(法第16条)
③【H22年出題(労災)】 ×
増加概算保険料も延納できますが、もともとの概算保険料を延納していることが条件です。問題文のように、増加前の概算保険料を延納していないときは、増加概算保険料の延納はできません。
(則第30条)
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