R4-277
民法第628条では、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と規定されています。
民法で明らかにされていない「やむを得ない事由があるときに該当しない場合」の取扱いを定めているのが、労働契約法第17条です。
条文を読んでみましょう。
第17条 (契約期間中の解雇) 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。 |
ポイント!
■ 労働契約法第17条第1項は、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中は有期契約労働者を解雇することができないことを規定しています。
■ 「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解されています。
(平24.8.10基発0810第2号)
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
使用者は、期間の定めのある労働契約については、やむを得ない事由がある場合であっても、その契約が満了するまでの間においては、労働者を解雇することができない。
②【H28年出題】
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないが、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解される。
③【R1年出題】
有期労働契約の契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合、当該事由に該当することをもって労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断される。
【解答】
①【H22年出題】 ×
「やむを得ない事由がある」場合は、契約が満了するまでの間でも、労働者を解雇することができます。
(民法第628条)
②【H28年出題】 〇
労働契約法第16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されています。
「やむを得ない事由」があると認められる場合は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解されています。
③【R1年出題】 〇
実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されます。
(平24.8.10基発0810第2号)
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