R4-292
建設の事業が数次の請負で行われている場合は、下請負事業が元請負事業に一括され、徴収法上、元請負人のみが事業主として取り扱われます。
しかし、一定規模以上の下請負事業は、元請負人の請負に係る事業から分離し、保険関係を独立させることができます。
条文を読んでみましょう。
第8条 (請負事業の一括) ① 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。
② ①に規定する場合において、元請負人及び下請負人が、当該下請負人の請負に係る事業に関して①の規定の適用を受けることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、当該請負に係る事業については、当該下請負人を元請負人とみなして①の規定を適用する。
則第8条 (下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可申請) 法第8条第2項の認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。 ただし、やむを得ない理由により、この期限内に当該申請書の提出をすることができなかったときは、期限後であっても提出することができる。
則第9条 (下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可の基準) 法第8条第2項の認可を受けるためには、下請負人の請負に係る事業が第6条第1項各号(有期事業の一括の要件)に該当する事業以外の事業でなければならない。 |
下請負事業の分離のポイント!
・請負事業の一括は法律上当然に行われますが、下請負人を分離させる場合は、厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限が委任されています)の認可が必要です。
・有期事業の一括の要件に該当しない規模のものが分離の対象です。
分離の要件=概算保険料が160万円以上、又は請負金額が1億8千万円以上であること
過去問をどうぞ!
①【H27年出題(労災)】
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の元請負人及び下請負人が、下請負事業の分離の認可を受けるためには、当該下請負人の請負に係る事業が建設の事業である場合は、その事業の規模が、概算保険料を算定することとした場合における概算保険料の額に相当する額が160万円未満、かつ、請負金額が1億8千万円未満でなければならない。
②【H27年出題(労災)】
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の元請負人及び下請負人が、下請負事業の分離の認可を受けようとするときは、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内であれば、そのいずれかが単独で、当該下請負人を事業主とする認可申請書を所轄都道府県労働局長に提出して、認可を受けることができる。
③【H27年出題(労災)】
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の下請負人を事業主とする認可申請書については、天災、不可抗力等の客観的理由により、また、事業開始前に請負方式の特殊性から下請負契約が成立しない等の理由により期限内に当該申請書を提出できない場合を除き、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
【解答】
①【H27年出題(労災)】 ×
「厚生労働省令で定める事業」とは、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち「建設の事業」のことです。
下請負事業の分離の認可を受けるためには、当該下請負人の事業の規模が、概算保険料が160万円以上、又は、請負金額が1億8千万円以上でなければなりません。
②【H27年出題(労災)】 ×
下請負事業の分離の認可は、いずれかが単独で行うことはできません。元請負人と下請負人が共同で、「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければなりません。
③【H27年出題(労災)】 〇
「下請負人を事業主とする認可申請書」は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、所轄都道府県労働局長に提出しなければなりません。
しかし、例外で、「やむを得ない理由により、この期限内に当該申請書の提出をすることができなかったときは、期限後であっても提出することができる。」と定められています。
やむを得ない理由とは、「天災、不可抗力等の客観的理由により、また、事業開始前に請負方式の特殊性から下請負契約が成立しない等」とされています。
(昭47.11.24労徴発41号)
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