R4-299
遺族厚生年金は、報酬比例部分×4分の3で計算します。※報酬比例部分は、死亡した人の被保険者期間や報酬をベースに計算します。
ただし、老齢厚生年金の受給権がある65歳以上の配偶者が受給する遺族厚生年金については、注意が必要です。
では、条文を読んでみましょう。
第60条、法附則第17条の2 (年金額) 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。 ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、①に定める額とする。 ① 第59条第1項に規定する遺族(次号に掲げる遺族を除く。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定(老齢厚生年金の年金額)の例により計算した額の4分の3に相当する額。 ただし、短期要件に該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。 ② 遺族のうち、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → ①に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額 イ ①に定める額に3分の2を乗じて得た額 ロ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額が加算された老齢厚生年金にあっては、加給年金額は除く。)に2分の1を乗じて得た額
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ポイント!
遺族厚生年金の額は、「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3」で計算するのが原則です。
ただし、65歳以上で、老齢厚生年金の受給権を有する人が、配偶者の死亡により遺族厚生年金の受給権を有する場合の年金額は、
次の①と②の額を比較し、高い方になります。
① 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3
② 「①の計算式の額×3分の2」と「自身の老齢厚生年金(子の加給年金額は除く)の額×2分の1」を合計した額
例えば、夫(老齢厚生年金(報酬比例部分)の額が80万円)、妻(65歳以上・老齢厚生年金の額が70万円)の場合であてはめると、夫が死亡した場合の妻の遺族厚生年金の額は、以下のようになります。
① 80万円×4分の3=60万円
② 「60万円×3分の2」+「70万円×2分の1」=75万円
①と②の高い方になりますので、妻の遺族厚生年金は②の75万円となります。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
被保険者が死亡したことによる遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として同法第43条第1項の規定の例により計算された老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額とする。この額が、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該4分の3を乗じて得た額を遺族厚生年金の額とする。
②【R3年出題】
63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)が遺族厚生年金を受給したときの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額と、当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額のうちいずれか多い額とする。
【解答】
①【H28年出題】 ×
遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として計算した「老齢厚生年金の額の4分の3」に相当する額です。しかし、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額を最低保障とする規定はありません。
②【R3年出題】 ×
配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)の遺族厚生年金の額は①と②のどちらか多い方です。
①死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3
②①の額の3分の2+配偶者本人の老齢厚生年金の額の2分の1
ワンポイント!
第60条第1項に、「ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、①に定める額とする。」と規定されています。
65歳以上で老齢厚生年金の受給権を有する配偶者でも、同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の支給を受けるときは、遺族厚生年金の額は①で計算します。
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