R4-349
「特定元方事業者」とは、建設業・造船業に属する事業の元方事業者です。
特定元方事業者は、同一の場所でいくつかの会社が混在して作業を行うにあたり、労働災害を防止するための措置を講じなければなりません。
条文を読んでみましょう。
第30条 (特定元方事業者等の講ずべき措置) 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。 1 協議組織の設置及び運営を行うこと。 2 作業間の連絡及び調整を行うこと。 3 作業場所を巡視すること。 4 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。 5と6は省略します。 |
特定元方事業者の講ずべき措置として、
「協議組織の設置及び運営」
「作業間の連絡及び調整」
「作業場所の巡視」
「教育に対する指導及び援助」
等があります。
では、過去問をどうぞ!
①【H18年出題】
製造業に属する事業(労働安全衛生法第15条第1項に規定する特定事業を除く。)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織の設置及び運営を行うことに関する措置、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。
②【H27年出題】
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するために、作業期間中少なくとも1週間に1回、作業場所を巡視しなければならない。
③【H20年出題】
特定元方事業者が講ずべき措置の事項として、労働安全衛生法第30条第1項第4号は、「関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと」と規定しており、関係請負人である事業者は、労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づいて、作業内容を変更したときの安全又は衛生のための教育を行う必要はない。
【解答】
①【H18年出題】 ×
「協議組織の設置及び運営」を行うことに関する措置を講じなければならないのは、「特定元方事業者」です。
「製造業に属する事業(特定事業を除く。)の元方事業者」は、「協議組織の設置及び運営」を行うことに関する措置を講じる義務はありませんので、この問題は「誤」となります。
ちなみに、「製造業に属する事業(特定事業を除く。)の元方事業者」については、「作業間の連絡及び調整を行う」ことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない、という規定はあります。(法第30条の2)
②【H27年出題】 ×
特定元方事業者の作業場所の巡視は、「毎作業日に少なくとも1回」、行わなければなりません。
(則第637条)
③【H20年出題】 ×
特定元方事業者が講ずるのは、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する「指導及び援助」を行うことです。安全衛生教育を行うことではありません。
安全衛生教育は、それぞれの事業者が行うべきものですので、関係請負人である事業者は、その労働者に対して、作業内容を変更したときの安全又は衛生のための教育を行う必要があります。
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