R4-350
今日は、遺族補償年金の失権事由を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第16条の4 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。 1 死亡したとき。 2 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。 3 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。 4 離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。 5 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)。 6 厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時60歳以上であったとき、子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時60歳以上であったときを除く。)。 |
労災保険の遺族補償年金には、転給があるのがポイントです。
受給権者が失権したときに、後順位者があるときは、次順位者が受給権者になります。
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、婚姻の届出はしていないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときは、消滅する。
②【H28年出題】
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。
③【H23年出題】
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは、消滅する。
④【H23年出題】
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった祖父母が、その障害の状態がなくなったときは、労働者の死亡の当時60歳以上であった場合であっても、消滅する。
⑤【H23年出題】
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった孫が、その障害の状態がなくなったときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときであっても、消滅する。
【解答】
①【H23年出題】 〇
事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときでも、遺族補償年金の受給権は消滅します。
②【H28年出題】 〇
直系血族又は直系姻族以外の養子になったときは失権します。伯父は直系ではなく傍系となりますので、伯父の養子になった場合は失権事由に該当します。
③【H23年出題】 ×
労働者の死亡の時から「引き続き障害の状態にある」ときは、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しても失権しません。
「労働者の死亡のときから引き続き」がポイントです。
労働者の死亡時に、障害要件を満たしていて引き続き障害の状態にある場合は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しても失権しません。
④【H23年出題】 ×
労働者の死亡の当時年齢要件を満たしている場合は、障害の状態がなくなっても受給権には影響しません。
労働者の死亡の当時60歳以上であった祖父母は、年齢要件を満たしていますので、障害の状態がなくなっても、受給権は消滅しません。
⑤【H23年出題】 ×
孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときは年齢要件を満たしていますので、障害の状態の有無は関係ありません。
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にその障害の状態がなくなったとしても、受給権は消滅しません。
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