R6-050
過去問で解ける問題をみていきます。
今日は、労働基準法です。
条文を読んでみましょう。
第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。 |
過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
「事業主」とは、その事業の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。
②【R4年出題】
株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。
③【H29年出題】
株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。
④【R2年出題 】
事業における業務を行うための体制が、課及びその下部組織としての係で構成され、各組織の管理者として課長及び係長が配置されている場合、組織系列において係長は課長の配下になることから、係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」になることはない。
【解答】
①【R2年出題】 ×
使用者には、「事業主」、「事業の経営担当者」、「その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」の3つがあります。
そのうち、「事業主」とは、その事業の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役ではなく「法人そのもの」をいいます。
②【R4年出題】 ×
法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者のような、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は、労働者になりません。
株式会社の代表取締役は、労働基準法の労働者ではありません。
(S23.1.9基発14号)
③【H29年出題】 〇
株式会社の取締役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者となります。
(S23.3.17基発461号)
④【R2年出題 】 ×
「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者をいい、その認定は部長、課長等の形式にとらわれません。各事業において、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限が与えられているか否かによります。
「係長」でも、与えられている責任と権限の有無によっては、係長が「使用者」になることもあります。
(S22.9.13発基第17号)
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
労働基準法第10条にいう「使用者」は、企業内で比較的地位の高い者として一律に決まるものであるから、同法第9条にいう「労働者」に該当する者が、同時に同法第10条にいう「使用者」に該当することはない。
【解答】
【R5年出題】 ×
使用者となるか否かは、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限が与えられているか否かで判断します。企業内で比較的地位の高い者として一律に決まるものではありません。
例えば、課長は、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」という面では、労働基準法の労働者です。一方、その課長に、ある事項について権限と責任が与えられている場合は、その事項については、その課長は使用者となります。
「労働者」に該当する者が、同時に「使用者」に該当することは、あり得ます。
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