R6-057
過去問で解ける問題をみていきましょう。
今日は厚生年金保険法です。
条文を読んでみましょう。
第66条第1項 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
・前条本文(第65条の2) 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給を停止する。 ・次項本文(第66条第2項) 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。 ・次条(第67条) 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止する。 |
「配偶者と子」は、遺族厚生年金の支給の順位が同順位です。配偶者と子が受給権を有する場合は、配偶者に遺族厚生年金を支給し、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、子に対する遺族厚生年金は支給停止されます。
ただし、配偶者の遺族厚生年金が、第65条の2本文、第66条第2項本文、第67条の規定で支給停止されている場合は、子の遺族厚生年金の支給停止は解除され、子に遺族厚生年金が支給されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。
②【R3年出題】
遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。
【解答】
①【H30年出題】 ×
子の遺族厚生年金の支給停止が解除されるのは、配偶者の遺族厚生年金が、第65条の2本文、第66条第2項本文、第67条の規定で支給停止されている場合です。
妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止は、「解除されません」。子の遺族厚生年金は、支給停止のままです。
ちなみに、受給権者の申出による年金の支給停止は、第36条の2に規定されています。
②【R3年出題】 ×
遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得し、障害基礎年金と障害厚生年金を選択しました。その場合、妻に対する遺族基礎年金と遺族厚生年金は支給停止されます。
妻が障害の年金を選択したことにより、妻の遺族厚生年金が支給停止になった場合でも、子の遺族厚生年金の支給停止は「解除されません」。子の遺族厚生年金は支給停止のままです。
令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
夫の死亡による遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた甲が、新たに障害厚生年金の受給権を取得した。甲が障害厚生年金の受給を選択すれば、夫の死亡当時、夫によって生計を維持されていた甲の子(現在10歳)に遺族厚生年金が支給されるようになる。
【解答】
【R5年出題】 ×
R3年の過去問と同じ趣旨の問題です。
遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた甲が、新たに障害厚生年金の受給権を取得し、障害厚生年金の受給を選択した場合は、甲に対する遺族基礎年金と遺族厚生年金は支給停止になります。
その場合でも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は「解除されません」。甲の子の遺族厚生年金は支給停止のままです。
社労士受験のあれこれ
毎日コツコツYouTubeチャンネル
チャンネル登録よろしくお願いします