R6-105
今日は、令和5年度の厚生年金保険法の改正点です。
令和5年4月の改正で創設された「特例的な繰下げみなし増額制度」をみていきます。
条文を読んでみましょう。
第44条の3第5項 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、その受給権を取得した日から起算して5年を経過した日後に当該老齢厚生年金を請求し、かつ、当該請求の際に繰下げの申出をしないときは、当該請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなす。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 1 当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後にあるとき。 2 当該請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付の受給権者であったとき。 |
ポイントを確認しましょう!
<改正前>
・65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。
73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、73歳からさかのぼって5年分の年金がまとめて支給されます。改正前は、まとめて支給される5年分には繰下げの増額分は加算されませんでした。なお、65歳から68歳までの3年分は時効で消滅します。
<改正後の変更点>
・65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。
73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、「請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなす」ことになりました。
そのため、遡ってまとめて支給される5年分の年金には、繰下げによる増額分が加算されます。
★なお、「特例的な繰下げみなし増額制度」は、「老齢厚生年金の受給権取得日から15年経過した日以後」、「請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付(障害や遺族の年金)の受給権者であった」ときは、適用されません。
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
65歳到達時に老齢厚生年金の受給権が発生していた者が、72歳のときに老齢厚生年金の裁定請求をし、かつ、請求時に繰下げの申出をしない場合には、72歳から遡って5年分の年金給付が一括支給されることになるが、支給される年金には繰下げ加算額は加算されない。
【解答】
【R5年出題】 ×
請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなされますので、72歳から遡って一括支給される5年分の年金には、繰下げ加算額が加算されます。
(第44条の3第5項)
65歳 67歳 72歳
(受給権発生) (5年前) (裁定請求)
| 繰下げ加算額 |
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繰下げ待機期間
| 5年分を一括支給 |
|
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