R6-110
過去問で解ける問題をみていきましょう。
今日は労働基準法です。
条文を読んでみましょう。
第15条 (労働条件の明示) ① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 ② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 ③ 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 |
労働契約締結の際に、使用者は、労働者に対して「賃金、労働時間その他の労働条件」を明示する義務があります。
明示事項には、「必ず明示しなければならない事項」と「定めをしている場合は明示しなければならない事項」の2種類があります。
まず、過去問からどうぞ!
①【H16年出題】
労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。
②【H24年出題】
使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない。
③【H23年出題】
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
④【R4年出題】
労働基準法第15条第3項にいう「契約解除の日から14日以内」であるとは、解除当日から数えて14日をいい、例えば、9月1日に労働契約を解除した場合は、9月1日から9月14日までをいう。
【解答】
①【H16年出題】 〇
第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件は、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎などに関する条件を含む労働者の職場における一切の待遇のことです。
一方、第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、施行規則第5条で具体的に決められています。
第1条及び第2条の「労働条件」と第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、異なります。
②【H24年出題】 ×
「表彰に関する事項」は、それに関する定めをする場合は、労働契約の締結に際し、明示しなければならない事項です。
(則第5条)
③【H23年出題】 〇
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合は、労働者は、即時に労働契約を解除できます。
④【R4年出題】 ×
「契約解除の日から14日以内」は、民法の期間計算の原則によります。
9月1日に労働契約を解除した場合は、解除当日ではなく解除の翌日から数えて14日をいいます。契約解除の日から14日以内は、9月2日から数えて、9月15日までをいいます。
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合においては、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれないから、労働契約の締結に当たり同旨の条件を付していたにもかかわらず、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできない。
【解答】
【R5年出題】 〇
社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合は、社宅を供与する旨の条件は第15条第1項の「労働条件」に含まれません。そのため、社宅を供与しなかったときでも、労働者は即時に労働契約を解除することはできません。
ちなみに、社宅を利用する利益が、第11条にいう賃金である場合は、第15条第1項の「賃金、労働時間その他の労働条件」に該当しますので、社宅を供与しなかった場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
(S23.11.27基収3514号)
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