R6-138
過去問で解ける問題をみていきましょう。
今日は厚生年金保険法です。
厚生年金保険の被保険者資格は、70歳に達したときに喪失します。
そのため、70歳以降に在職中でも厚生年金保険の保険料の負担はありません。しかし、在職老齢年金の仕組みが適用される場合があります。
条文を読んでみましょう。
第27条 (届出) 適用事業所の事業主又は第10条第2項(任意単独被保険者)の同意をした事業主(以下単に「事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「70歳以上の使用される者」という。)を含む。)の資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあっては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。 |
★70歳以上の使用される者とは
70歳以上の適用事業所に使用されるもので、法第12条各号の適用除外に該当しないものをいいます。
(則第10条の4)
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
第1号厚生年金被保険者に係る適用事業所の事業主は、被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用されることにより70歳以上の使用される者の要件(厚生年金保険法施行規則第10条の4の要件をいう。)に該当する場合であって、当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である場合は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届を省略することができる。
②【H28年出題】
昭和12年4月1日以前生まれの者が平成28年4月に適用事業所に使用されている場合、その者に支給されている老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることはない。
③【R4年出題】
在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超える場合、年金額の一部又は全部が支給停止される仕組みであるが、適用事業所に使用される70歳以上の者に対しては、この在職老齢年金の仕組みが適用されない。
【解答】
①【R2年出題】 〇
第1号厚生年金被保険者が在職中に70歳に達し、引き続き当該事業所に使用される場合の届出についての問題です。
70歳以上の使用される者の要件に該当する場合は、事業主は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
ただし、当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における準報酬月額と同額である場合は、届出を省略することができます。
(則第15条の2第1項)
②【H28年出題】 ×
70歳以上の使用される者に在職老齢年金の仕組みが適用されるようになったのは、平成19年4月1日ですが、その時点で70歳以上だった昭和12年4月1日以前生まれの者には在職老齢年金の仕組みは適用されませんでした。
しかし、平成27年10月の改正で、昭和12年4月1日以前生まれの者にも、在職老齢年金の仕組みが適用されるようになりました。
③【R4年出題】 ×
適用事業所に使用される70歳以上の使用される者については、在職老齢年金の仕組みが適用されます。
(第46条第1項)
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
厚生年金保険の適用事業所で使用される70歳以上の者であっても、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止の対象とはならない。
【解答】
【R5年出題】 〇
在職老齢年金の対象になるのは、「70歳以上の使用される者」です。
適用事業所で使用される70歳以上の者でも、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、「70歳以上の使用される者」になりません。そのため、在職老齢年金の仕組みは適用されません。
(法第46条第1項、則第10条の4)
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