R6-168
過去問から学びましょう。
今日は労災保険法です。
休業補償給付の条文を読んでみましょう。
第14条第1項 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。・・・(※以下省略します。) |
休業補償給付は、以下の要件を満たした場合に支給されます。
・「業務上」の傷病による療養のため
↓
・労働することができないため
↓
・賃金を受けない
休業補償給付の額は、1日当たり給付基礎日額の100分の60で、賃金を受けない日の第4日目から支給されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H24年出題】
療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。
②【H30年出題】
休業補償給付と傷病補償年金は、併給されることはない。
③【H30年出題】
休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の4日目から支給されるが、休業の初日から第3日目までの期間は、事業主が労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければならない。
④【H30年出題】
会社の所定休日においては、労働契約上賃金請求権が生じないので、業務上の傷病による療養中であっても、当該所定休日分の休業補償給付は支給されない。
⑤【H30年出題】
業務上の傷病により、所定労働時間の全部労働不能で半年間休業している労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、休業補償給付は支給されない。
【解答】
①【H24年出題】 〇
療養補償給付は、療養中に受けられる治療等のことです。休業補償給付は療養中に受けられる所得補償です。目的が違いますので同時に受けることができます。
(法第13条、第14条)
②【H30年出題】 〇
休業補償給付と傷病補償年金は、どちらも療養中に受けられる所得補償ですので、同時に支給されることはありません。
(法第18条第2項)
※ 年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わります。
例えば、1月に傷病補償年金を支給すべき事由が生じた場合は、傷病補償年金は2月から支給され、1月中は「休業補償給付」が支給されます。
③【H30年出題】 〇
労働基準法では、業務災害について補償を行うことを使用者に義務付けています。(災害補償といいます)
労働基準法第76条第1項では、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。」と規定されています。
なお、労働基準法の災害補償の事由について、労働者災害補償保険法から労働基準法の災害補償に相当する給付が行なわれる場合は、使用者は災害補償を行う責を免れます。(労働基準法第84条)
そのため、労災保険から休業補償給付が行われるときは、事業主は、労働基準法の休業補償を行う義務はなくなります。
ただし、休業の初日から第3日目までの期間は、労災保険の休業補償給付が行われませんので、事業主は労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければなりません。
(労基法第76条、第84条)
ちなみに、通勤災害、複数業務要因災害には、労働基準法の災害補償責任はありません。
④【H30年出題】 ×
休業補償給付は、会社の所定休日にも支給されます。
⑤【H30年出題】 〇
「平均賃金の100分の60以上の金額」が支払われている場合は、「休業する日」に該当しません。
所定労働時間の全部労働不能の労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、「休業する日」に該当しないので、休業補償給付は支給されません。
(昭40.9.15基災発第14号)
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