社会保険労務士合格研究室

 労災保険法「休業補償給付」

R7-248 05.03

休業補償給付の支給額

 さっそく「休業補償給付」について条文を読んでみましょう。

14条第1

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。

 ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(最高限度額」を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、その適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)100分の60に相当する額とする。

 

 

<部分算定日の例をみてみましょう>

午 前

午 後

通院のため休業

勤 務

給付基礎日額 → 12,000

午後の労働に対する賃金 → 5,000

 

休業補償給付の額

=(給付基礎日額-部分算定日に対して支払われる賃金の額)×100分の60

=(12,000円-5,000円)×100分の60

4,200

 

※複数事業労働者が、一方の事業場で休業し、他方の事業場で年次有給休暇を取得した場合なども部分算定日に該当します。

 

 

<部分算定日の休業補償給付のポイント!>

・(給付基礎日額-部分算定日に支払われる賃金の額)×100分の60

★「最高限度額」を給付基礎日額とすることとされている場合

→ (最高限度額を適用しない給付基礎日額-部分算定日に支払われる賃金の額)×100分の60

★控除して得た額が最高限度額を超える場合

→ 最高限度額×100分の60

 

過去問をどうぞ!

①【R5年選択式】

 労災保険法第14条第1項は、「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による< A >のため労働することができないために賃金を受けない日の第< B >日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の< C >に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による< A >のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第8条の2第2項第2号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)< C >に相当する額とする。」と規定している。

(選択肢)

① 100分の50100分の60100分の70100分の80

⑤ 2   ⑥ 3   ⑦ 4   ⑧ 7   ⑨ 通院   ⑩ 能力喪失

⑪ 療養

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年選択式】

A> ⑪ 療養

B> ⑦ 4

C> ② 100分の60

 

 

②【H30年出題】※改正による修正あり

 業務上の傷病により、所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日の休業補償給付の額は、療養開始後16か月未満の場合には、休業給付基礎日額から当該部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60に相当する額である。

 

 

 

 

②【H30年出題】 〇

 「療養開始後1年6か月」とは

→ 療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後は、「年齢階層別の最高限度額」が適用されます。

 療養開始後16か月未満の場合は、「年齢階層別の最高限度額」は適用されませんので、「休業給付基礎日額から当該部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60」に相当する額となります。

 

 

③【R2年出題】

 労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分のみについて労働し、当該労働に対して支払われる賃金の額が給付基礎日額の20%に相当する場合、休業補償給付と休業特別支給金とを合わせると給付基礎日額の100%となる。

 

 

 

 

【解答】

③【R2年出題】 ×

 例えば、給付基礎日額が10,000円、所定労働時間の労働した時間に対して支払われる賃金が給付基礎日額の20%(2,000円)の場合で考えてみましょう。

休業補償給付=(10,000円−2,000円)×100分の604,800

休業特別支給金=(10,000−2,000円)×100分の201,600

 休業補償給付と休業特別支給金とを合わせても、給付基礎日額の100%にはなりません。

 

 

④【H30年出題】

 業務上の傷病により、所定労働時間の全部労働不能で半年間休業している労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、休業補償給付は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H30年出題】 〇

 休業補償給付は、「賃金を受けない日」について支給されます。

賃金を受けない日」は、以下のような日をいいます。

全部労働不能の場合

平均賃金の60%未満の金額しか受けない日

一部労働不能の場合

・労働不能の時間について全く賃金を受けない

・「平均賃金と実労働時間に対する賃金との差額の60%未満の金額」しか受けない日

 問題文は、「全部労働不能」で休業中に「平均賃金の6割以上」の金額が支払われているので、「賃金を受けない日」に該当しません。そのため、休業補償給付は支給されません。

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