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社会保険労務士合格研究室

労災保険法「打切補償を支払ったとみなす」

R8-143 01.14

解雇制限の解除と傷病補償年金の関係

 労働基準法では、解雇が制限されている期間があります。

 労働基準法の条文を読んでみましょう

労基法第19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない

ただし、使用者が、労基法第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

今回の注目点

・労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間+その後30日間は解雇してはならない

→ 業務上の負傷又は疾病については、使用者に補償する義務があるからです。

→ (例外)使用者が、労基法第81条の規定によって打切補償を支払う場合は、解雇できる

 

打切補償についても条文を読んでみましょう

労基法第81条 (打切補償)

 第75(療養補償)の規定によって補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい

 本来は、業務上の傷病が治るまで使用者には補償義務がありますが、療養開始後3年を経過しても治らない場合は、「打切補償」を行うことにより、その後の補償義務がなくなるという規定です。

 

<解雇制限との関係について> 

◇ 業務上の傷病が治るまでは解雇できません。ただし、打切補償を行うことで使用者の補償義務がなくなれば、解雇制限が解除されます=解雇できるようになります。

◇ なお、実際は、業務上の傷病については、労災保険から保険給付が行われますので、使用者が療養補償を行うことはありません。

◇ そのため、療養開始後3年を経過した日に「傷病補償年金」を受けているとき、また3年を経過した日後に傷病補償年金を受けることとなったときは、打切補償を支払ったものとみなす規定があります。

 

 では、労災保険法の条文を読んでみましょう

労災保険法第19

業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなす

「打切補償」を支払ったとみなされるため、それ以後、解雇制限が解除されます。

下の図でイメージしましょう

 

では、過去問を解いてみましょう

①【H24年選択式】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において、同法第81条の規定により< A >を支払ったものとみなす。

 

 

 

 

 

【解答】

A> 打切補償

 

 

 

②【H29年出題】

 業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 〇

 療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合には、使用者は、3年を経過した日に「打切補償」を支払ったものとみなされ、解雇制限が解除されます。

 

 

 

➂【R2年出題】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R2年出題】 ×

 療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に「限り」の部分が誤りです。 

 「打切補償をしはらったもの」とみなされるパターンは2つあります。

・療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合

→ 3年を経過した日に打切補償を支払ったものとみなす

同日(療養の開始後3年を経過した日)において傷病補償年金を受けることとなった場合

→ 傷病補償年金を受けることとなった日に打切補償を支払ったものとみなす

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