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社会保険労務士合格研究室

労災保険法「遺族補償給付」

R8-148 01.19

遺族補償年金の「遺族の範囲」と「年金額」の基本お話しします

  遺族補償給付には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 「年金」と「一時金」では、対象になる遺族の範囲などが異なります。

 今回は、「年金」の遺族の範囲をみていきます。

 

 条文を読んでみましょう

法第16

 遺族補償給付は、遺族補償年金又は遺族補償一時金とする。

 

16条の2

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時の収入によって生計を維持していたものとする。

ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1) (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2) 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3) 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること。

4) (1)、(2)、(3)の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

※則第15条 

 身体に別表第一の障害等級の第5級以上に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。

② 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす。

③ 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とする。

 

<遺族の順位>

または

60歳以上又は一定の障害状態の

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある又は一定の障害状態の

 60歳以上又は一定の障害状態の父母

 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある又は一定の障害状態の

60歳以上又は一定の障害状態の祖父母

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある又は60歳以上又は一定の障害状態の兄弟姉妹

55歳以上60歳未満

55歳以上60歳未満父母

55歳以上60歳未満祖父母

55歳以上60歳未満兄弟姉妹

ポイント!

※①~⑩の要件に該当する遺族を「受給資格者」といいます。

※「受給資格者」のうち、最先順位者が、年金を受ける「受給権者」となります。

<特例> 55歳以上60歳未満の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹も、受給権者になり得ますが、60歳になるまでは年金は支給停止されます(「若年停止」といいます)

(昭40法付則第43条)

 

 

遺族補償年金の「額」について条文を読んでみましょう

16条の3

① 遺族補償年金の額は、別表第一に規定する額とする。

 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族及びその者と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族の人数の区分に応じ、当該各号に掲げる額

1 人

給付基礎日額の153日分

ただし、55歳以上の妻又は厚生労働省令で定める障害の状態にある妻にあっては、給付基礎日額の175日分

2 人

給付基礎日額の201日分

3 人

給付基礎日額の223日分

4人以上

給付基礎日額の245日分

 

② 遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族補償年金の額は、別表第一に規定する額をその人数で除して得た額とする。

③ 遺族補償年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減を生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。

④ 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族がであり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号の一に該当するに至ったときは、その該当するに至った月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。

1) 55歳に達したとき(別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)。→ (153日分→175日分)

2) 別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態になったとき→ (153日分→175日分)、又はその事情がなくなったとき → (175日分→153日分)(55歳以上であるときを除く。)

 

(遺族補償年金の額の例)

・子3人が受給権者の場合

→ 年金の額は、給付基礎日額の223日分。それぞれに3分の1ずつ支給される

受給権者が妻その者と生計を同じくしている受給資格者である子が2人の場合

→ 年金の額は、給付基礎日額の223日分。妻に223日分が支給される

 

過去問を解いてみましょう

①【R3年選択式】

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ)、父母又は祖父母については、< A >歳以上であること。

2 子又は孫については、< B >歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、< B >歳に達する日以後の最初の331日までの間にあること又は< A >歳以上であること。

4 前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年選択式】

A> 60

B> 18

 

 

 

②【H28年出題】

 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができます。妻は、「生計維持要件」は満たす必要はありますが、年齢要件・障害要件は問われません。

 なお、「業務上の死亡」とは、即死又は業務上の負傷若しくは疾病に起因する死亡をいいます。「傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡」した場合は、業務上の死亡に当たります。

 

 

③【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 ×

 「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」とは、「もつぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。」とされています。

問題文の妻は、遺族補償年金を受けることができます。

(41.1.31基発第73)

 

 

④【R7年選択式】

 遺族補償年金を受けることができる、障害の状態にある遺族の障害の状態について、労災保険法施行規則第15条は、「障害の状態は、身体に別表第1の障害等級の   < A >に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、< B >が高度の制限を受けるか、若しくは< B >に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。」と定めている。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年選択式】

A> 第5級以上

B> 労働

 

 

⑤【R5年出題】

 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

 

 

 

 

 

⑤【R5年出題】 ×

 「障害の状態にない50歳の夫」は、年齢要件も障害要件も満たしませんので、遺族補償年金は受けられません。

 

 

 

⑥【R2年出題】

 業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【R2年出題】 ×

Yの死亡の当時19歳の大学生は、障害要件を満たさない場合は、遺族補償年金の受給資格者になりません。

 

 

 

⑦【R5年出題】

 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【R5年出題】 ×

 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、「将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子」とみなされます。出生時から将来に向かって受給資格者となります。

 

 

 

⑧【H25年出題】

 遺族補償給付を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が55歳に達したとき(労災保険法別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)は、その達した月から遺族補償年金の額を改定する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑧【H25年出題】 ×

 その達した月からではなく「翌月から」遺族補償年金の額が改定されます。

 遺族が55歳未満で障害の状態にない妻1人の場合、遺族補償年金の額は給付基礎日額の153日分です。当該妻が55歳に達したときは、「175日分」に改定されます。

 

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→ https://youtu.be/k3_mSk9U59Y?si=OWgIIxQ6F0u2YQRu

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