合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

労災保険法「遺族補償一時金」

R8-150 01.21

遺族補償一時金のポイント|遺族の範囲と順位

 遺族補償給付には、「年金」と「一時金」があります。

 今回は、「遺族補償一時金」をみていきます。

 

 条文を読んでみましょう

法第16条の6第1

 遺族補償一時金は、次の場合に支給する。

1) 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。

2) 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において(1)に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額(給付基礎日額の1,000日分)に満たないとき。

法第16条の7

① 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。

1) 配偶者

2) 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

3) 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

② 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序により、(2)及び(3)に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。

ポイント! 

 遺族補償一時金の遺族については、「年齢要件」も「障害要件」もありません。

 また、「生計維持要件」は、受給権発生の必須要件ではありません。

 

★順位を確認しましょう

① 配偶者

② 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母

③ 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子・父母・孫・祖父母

④ 兄弟姉妹

 

★遺族補償一時金の額

1) 例えば、遺族が50歳で障害状態にない夫の場合(年金の対象にはならない) 

 → 給付基礎日額の1,000日分

2) 例えば、遺族補償年金の受給権が消滅し、受け取った年金の合計額が給付基礎日額の1,000日未満の場合 

 → (給付基礎日額の1,000日分)-(既に支払われた遺族補償年金および遺族補償年金前払一時金の額の合計額)

 

 

過去問を解いてみましょう

①【R3年出題】

 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者より先順位となる。

B 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた祖父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より先順位となる。

C 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた孫は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より先順位となる。

D 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より後順位となる。

E 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より後順位となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】A

A × 配偶者は、生計維持の有無に関係なく、順位は1位になるのがポイントです。

「生計を維持していた父母」と「生計を維持していなかった配偶者」では、「生計を維持していなかった配偶者」が先順位です。

B 〇 子、父母、孫、祖父母は、「生計を維持していた」方が優先します。「生計を維持していた祖父母」は、「生計を維持していなかった父母」より先順位です。

C 〇 「生計を維持していた孫」は、「生計を維持していなかった子」より先順位です。

D 〇 「兄弟姉妹」は、生計維持の有無に関係なく順位は「最後」です。

「生計を維持していた兄弟姉妹」は、「生計を維持していなかった子」より後順位です。

E 〇 「生計を維持していた兄弟姉妹」は、「生計を維持していなかった父母」より後順位です。

 

 

 

②【H25年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その祖父母は、当該労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 

 遺族補償一時金の受給権発生の要件として、「生計維持」は必須ではありません。労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった祖父母は、遺族補償一時金の受給者となることがあります。

 

 

 

④【H28年出題】

 遺族補償年金の受給権を失権したものは、遺族補償一時金の受給権者になることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 ×

 遺族補償年金の受給権を失権したものでも、遺族補償一時金の受給権者になることがあります。

 「遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅」し、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額及び前払一時金の合計額給付基礎日額の1,000日分に満たないときに遺族補償一時金の受給権者になります。

 その場合の遺族補償一時金の額は、「遺族補償年金の額及び前払一時金の合計額」と「給付基礎日額の1,000日分」との差額です。

 

 

 

⑤【H10年出題】

 遺族補償年金を受ける権利を有する死亡労働者の妻が再婚をした場合であっても、他に遺族補償年金の受給権者がいないときには、当該再婚をした妻は遺族補償一時金の請求権を有することがある。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H10年出題】 〇

 遺族補償年金を受ける権利を有する死亡労働者の妻が再婚をした場合は、遺族補償年金の受給権は消滅します。

 ただし、他に遺族補償年金の受給権者がいなくて、既に支給された遺族補償年金と前払一時金の合計額が給付基礎日額の1,000日未満の場合は、当該再婚をした妻に遺族補償一時金が支給されます。

 ポイントは、「死亡した労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の身分は、労働者の死亡の当時の身分による」点です。

 再婚した妻でも、労働者の死亡当時は「死亡した労働者の妻」でしたので、遺族補償一金を受けることができます。

 

 

 

⑥【H18年出題】

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【H18年出題】 ×

 遺族補償給付には、「年金」と「一時金」があります。

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければなりませんが、遺族補償一時金の場合は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかったものでも対象になります。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/jYkwYp-ZLIA?si=ML42H1SvF2Max-20

社労士受験のあれこれ