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社会保険労務士合格研究室

労働保険徴収法「賃金総額」

R8-241 04.22

【賃金総額の算出】一般保険料額=賃金総額×一般保険料率

 「労働保険料」には次の6つの種類があります。

・ 一般保険料

・ 第一種特別加入保険料

・ 第二種特別加入保険料

・ 第三種特別加入保険料

・ 印紙保険料

・ 特例納付保険料

 

 今回は、労働保険料の中の「一般保険料」をみていきます。

 「一般保険料」は労働者の労災保険料と雇用保険料です。「賃金総額」を使って計算します。

 

条文を読んでみましょう

法第11条 (一般保険料の額)

① 一般保険料の額は、賃金総額一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とする。

② 「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。

③ 厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。

 

則第12(賃金総額の特例)

 法第11条第3項の厚生労働省令で定める事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次の各号に掲げる事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものとする。

1) 請負による建設の事業

2) 立木の伐採の事業

3) 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)

4) 水産動植物の採捕又は養殖の事業

 

法第12条 (一般保険料に係る保険料率)

① 一般保険料に係る保険料率は、次のとおりとする。

1) 労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労災保険率と雇用保険率とを加えた率

2) 労災保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては、労災保険率

3) 雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては、雇用保険率

 

 

今回は「賃金総額」をみていきます。

 

過去問を解いてみましょう

①【H26年出題】(労災)

 慶弔見舞金は、就業規則に支給に関する規定があり、その規定に基づいて支払われたものであっても労働保険料の算定基礎となる賃金総額に含めない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】(労災) 〇

 慶弔見舞金など個人的・臨時的な吉凶禍福に対して支給されるものは、就業規則等の規定に基づいて事業主に支給が義務付けられていても、「賃金」として取り扱われませんので、労働保険料の算定基礎となる賃金総額に含めません。

(昭25.2.16基発127号)

 

 

 

②【R4年出題】(労災)

 健康保険法第99条の規定に基づく傷病手当金について、標準報酬の6割に相当する傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、恩恵的給付と認められる場合には、一般保険料の額の算定の基礎となる賃金総額に含めない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R4年出題】(労災) 〇

 健康保険法第99条の規定に基づく傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、恩恵的給付と認められる場合には、賃金とは認められないため、一般保険料の額の算定の基礎となる賃金総額に含めません。

(昭24.6.14基災3850号)

 

 

 

③【R4年出題】(労災)

 法人の取締役であっても、法令、定款等の規定に基づいて業務執行権を有しないと認められる者で、事実上、業務執行権を有する役員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を受けている場合には労災保険が適用されるため、当該取締役が属する事業場に係る労災保険料は、当該取締役に支払われる賃金(法人の機関としての職務に対する報酬を除き、一般の労働者と同一の条件の下に支払われる賃金のみをいう。)を算定の基礎となる賃金総額に含めて算定する。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R4年出題】(労災) 〇

 法人の取締役であっても、事実上、業務執行権を有する役員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を受けている場合は「労働者」として取り扱われ、労災保険が適用されます。

 そのため、労災保険料は、当該取締役に支払われる賃金(法人の機関としての職務に対する報酬を除き、一般の労働者と同一の条件の下に支払われる賃金のみをいう。)を賃金総額に含めて算定します。

(昭34.1.26基発48号、昭61.3.14基発141号)

 

 

 

 

④【R4年出題】(雇用)

 A及びBの2つの適用事業主に雇用される者XがAとの間で主たる賃金を受ける雇用関係にあるときは、XはAとの雇用関係においてのみ労働保険の被保険者資格が認められることになり、労働保険料の算定は、AにおいてXに支払われる賃金のみをAの賃金総額に含めて行い、BにおいてXに支払われる賃金はBの労働保険料の算定における賃金総額に含めない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】(雇用) ×

 「労災保険」と「雇用保険」の違いに注意しましょう

★同時に2以上の雇用関係にある労働者の雇用保険について

 当該2以上の雇用関係のうち一の雇用関係 (原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係とする)についてのみ、雇用保険の被保険者となります。

 問題文の場合は、Xは主たる賃金を受ける雇用関係にあるAとの雇用関係においてのみ雇用保険の被保険者資格が認められます。

 そのため、「雇用保険の保険料」の算定については、AにおいてXに支払われる賃金のみをAの賃金総額に含めて行い、BにおいてXに支払われる賃金はBの雇用保険料の算定における賃金総額に含めません。

★同時に2以上の雇用関係にある労働者の労災保険について

 労災保険は、それぞれで適用されます。

 そのため労災保険料は、AにおいてXに支払われる賃金はAの賃金総額に含めて行い、BにおいてXに支払われる賃金はBの賃金総額に含めて算定します。

(行政手引20352

 

 

 

⑤【R4年出題】(労災)

 労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の種類に従い、請負金額に同法施行規則別表第2に掲げる労務費率を乗じて得た額を賃金総額とするが、その賃金総額の算定に当たっては、消費税等相当額を含まない請負金額を用いる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R4年出題】(労災) 〇

 「労災保険」に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、賃金総額の特例が認められています。

 賃金総額は、「請負金額×労務費率」となります。

 賃金総額の算定に当たっては、消費税等相当額を含まない請負金額を用います。

(則第4条第1項、則第13条第1項)

 

 

 

⑥【R4年出題】(労災)

 労災保険に係る保険関係が成立している造林の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【R4年出題】(労災) ×

労災保険に係る保険関係が成立している「立木の伐採の事業」で、賃金総額を正確に算定することが困難なものの賃金総額の特例

→ 所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。(則第14条)

 

労災保険に係る保険関係が成立している「造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)」及び「水産動植物の採捕又は養殖の事業」で、賃金総額を正確に算定することが困難なものの賃金総額の特例

 → その事業の労働者につき労働基準法の規定に基づき厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする(則第15条)

 問題文の場合は、「その事業の労働者につき労働基準法の規定に基づき厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。」となります。

 

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