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社会保険労務士合格研究室

厚生年金保険法「遺族厚生年金の支給要件」

R8-318 07.08

【遺族厚生年金の支給要件】死亡した人の要件(短期要件・長期要件)

 遺族厚生年金の支給要件をみていきます。

 「短期要件と長期要件」があること、「保険料納付要件がある・ない」があることがポイントです。

 

 条文を読んでみましょう

法第58

① 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。ただし、第1号又は第2号に該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

1) 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。

2) 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日に死亡したとき。

3) 障害等級の1級又は2に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

4) 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

② 死亡した被保険者又は被保険者であつた者が第1号から第3号までのいずれかに該当し、かつ、第4号にも該当するときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き第1号から第3号までのいずれかのみに該当し、第4号には該当しないものとみなす

 

 

1)~(3)が短期要件、(4)が長期要件です。

保険料納付要件が問われるのは(1)と(2)です。

 

 

過去問を解いてみましょう

★被保険者が死亡した場合(在職中に死亡した場合)

①【H28年出題】

 20歳未満の厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 厚生年金保険の被保険者が死亡した場合は、被保険者が20歳未満でも一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます。なお、被保険者が20歳未満の場合は、死亡日の属する月の前々月までに未納期間がありませんので、保険料納付要件は満たします。

 

 

 

 

②【H28年出題】

 保険料納付要件を満たしている被保険者が行方不明となり、その後失踪の宣告を受けた場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 「失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったもの」も、遺族厚生年金の対象となります。要件を満たせば、一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます。

 

 

 

★初診日から5年を経過する日前に死亡した場合(資格喪失後の死亡)

③【R6年選択式】

 厚生年金保険法第58条第1項第2号の規定により、厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により  < A >を経過する日前に死亡したときは、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。ただし、死亡した者が遺族厚生年金に係る保険料納付要件を満たしていない場合は、この限りでない。

(選択肢)

⑬ 当該初診日から起算して3年   ⑭ 当該初診日から起算して5年

⑮ 被保険者の資格を喪失した日から起算して3年 

⑯ 被保険者の資格を喪失した日から起算して5年 

 

 

 

 

【解答】

③【R6年選択式】

A>  当該初診日から起算して5年

★ポイント!

・厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した後に死亡

被保険者であった間に初診日がある傷病(在職中に初診日がある傷病)により

・当該初診日から起算して5年を経過する日に死亡

→「初診日」から起算します。 「被保険者の資格を喪失した日」ではありませんので注意しましょう。

 

 

 

 

④【R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者であった甲は令和341日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3315日に初診日がある傷病により令和381日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満であっても、令和27月から令和36月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる

 

 

 

 

 

【解答】

④【R3年出題】 〇

★保険料納付要件の特例を確認しましょう

令和18年4月1日前に死亡した者

死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない=保険料未納期間がないこと)

・死亡日に65歳未満

(昭60年法附則第64条第2項)

 問題文の場合は、令和381日に死亡していますので、死亡日の属する月の前々月は令和3年6月です。

 死亡日の属する月の前々月までの1年間は、令和27月から令和36月ですので、その間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないとき(=滞納がないとき)には、遺族厚生年金の支給対象となります

 

 

 

1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合

⑤【R1年出題】

 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R1年出題】 〇

 障害等級1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、保険料納付要件は問われません。

 

 

 

 

⑥【H23年出題】

 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H23年出題】 ×

 「障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者」が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合は、遺族厚生年金は支給されません。

 

 

★長期要件について

⑦【R3年出題】

 老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【R3年出題】 〇

 「保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間並びに65歳に達した日の属する月以後の被保険者期間を合算した期間が25年以上である者」は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であるものとみなされます。

問題文のように、合算対象期間を合算して25年以上である場合には、長期要件に該当します。

(法附則第14条)

 

 

 

 

★短期要件と長期要件の両方に該当する場合

⑧【R3年出題】

 20歳から30歳まで国民年金の第1号被保険者、30歳から60歳まで第2号厚生年金被保険者であった者が、60歳で第1号厚生年金被保険者となり、第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡した。当該被保険者の遺族が当該被保険者の死亡当時生計を維持されていた60歳の妻のみである場合、当該妻に支給される遺族厚生年金は、妻が別段の申出をしたときを除き、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出される。

 

 

 

 

 

【解答】

⑧【R3年出題】 ×

 問題文の場合、「保険料納付済期間が25年以上」あるため長期要件に該当し、かつ、「第1号厚生年金被保険者期間中」に死亡していますので、短期要件にも該当します。

 この場合、妻が別段の申出をしたときを除き、「短期要件」のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出されます。長期要件には該当しないものとみなされます

 

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