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R8-319 07.09
遺族厚生年金の支給対象になる遺族をみていきます。
遺族の「順位」があること、生計維持が認められる要件にも注意しましょう。
また、労災保険のような転給がないこともポイントです。
条文を読んでみましょう
法第59条(遺族) ① 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失 踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時。)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。 (1) 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。 (2) 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。 ② 父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。 ③ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向って、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。 |
遺族の順位
① 配偶者又は子 | ② 父母 | ③ 孫 | ④ 祖父母 |
過去問を解いてみましょう
★遺族となる要件
①【R3年出題】
85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。

【解答】
①【R3年出題】 〇
「60歳」の受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族になりません。
★先順位の遺族が受給権を取得し、その後失権した場合
②【H29年出題】
被保険者が死亡した当時、妻、15歳の子及び65歳の母が当該被保険者により生計を維持していた。妻及び子が当該被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権を取得したが、その1年後に妻が死亡した。この場合、母が当該被保険者の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得することはない。

【解答】
②【H29年出題】 〇
「妻、15歳の子及び65歳の母」があった場合、「妻及び子」が遺族厚生年金の受給権を取得し、母は遺族厚生年金を受けることはできません。その後、妻が死亡しても、母が遺族厚生年金の受給権を取得することはありません。
③【R2年出題】
被保険者の死亡当時10歳であった遺族厚生年金の受給権者である被保険者の子が、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したことによりその受給権を失った場合において、その被保険者の死亡当時その被保険者によって生計を維持していたその被保険者の父がいる場合でも、当該父が遺族厚生年金の受給権者となることはない。

【解答】
③【R2年出題】 〇
「父」は、「子」が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、「遺族厚生年金を受けることができる遺族としない」とされています。
子が、受給権を失った場合でも、父が遺族厚生年金の受給権者となることはありません。
★胎児であった子が出生したとき
④【H27年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、厚生年金保険法第59条第1項に規定する遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲の適用については、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。

【解答】
④【H27年出題】 〇
ポイントは、「将来に向かって」の部分です。被保険者の死亡当時にさかのぼってではありません。
⑤【R1年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その妻の有する遺族厚生年金に当該子の加給年金額が加算される。

【解答】
⑤【R1年出題】 ×
遺族厚生年金は、「加給年金額」はありません。
★生計維持の認定について
条文を読んでみましょう
令第3条の10(遺族厚生年金の生計維持の認定) 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫又は祖父母は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者であって厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣の定める者とする。 |
⑥【H25年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた子であっても、年額130万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる場合は、その者によって生計を維持されていたとは認められず、遺族厚生年金を受けることができる遺族になることはない。

【解答】
⑥【H25年出題】 ×
「年額130万円以上」ではなく、「年額850万円以上」です。
(平23.3.23年発0323第1号)
⑦【H29年出題】
被保険者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたが、年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められたため、遺族厚生年金の受給権を得られなかった配偶者について、その後、給与収入が年収850万円未満に減少した場合は、当該減少したと認められたときから遺族厚生年金の受給権を得ることができる。

【解答】
⑦【H29年出題】 ×
生計維持関係は、「受給権発生日(被保険者の死亡の当時)」で判断されます。その後、給与収入が年収850万円未満に減少しても、遺族厚生年金は受けられません。
(平23.3.23年発0323第1号)
⑧【R5年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた配偶者で、前年収入が年額800万円であった者は、定期昇給によって、近い将来に収入が年額850万円を超えることが見込まれる場合であっても、その被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる。

【解答】
⑧【R5年出題】 〇
★収入に関する認定要件を確認しましょう
生計維持認定対象者に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するものとされます。
① 前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。
② 前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。
③ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記①又は②に該当すること。
④ 前記の①、②又は③に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。
被保険者等の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた配偶者で、前年収入が年額800万円であった者は生計を維持していたと認められます。
(平23.3.23年発0323第1号)
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