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社会保険労務士合格研究室

【労災保険法】心理的負荷による精神障害の認定基準

R9-051 10.14

セクシュアルハラスメントの心理的負荷の評価

 セクシュアルハラスメントの心理的負荷の評価についてみていきます。

 

ポイント!

 セクシュアルハラスメントが原因で、精神障害を発病した場合は、労災保険の対象になります。

 最初に、精神障害が業務上の疾病となる要件を確認しましょう。

1 対象疾病を発病していること。

2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。

3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

セクシュアルハラスメント事案についての留意事項を読んでみましょう。

<セクシュアルハラスメント事案の留意事項>

セクシュアルハラスメントが原因で対象疾病を発病したとして労災請求がなされた事案の心理的負荷の評価に際しては、特に次の事項に留意する。

・ セクシュアルハラスメントを受けた者(以下「被害者」という。)は、勤務を継続したいとか、セクシュアルハラスメントを行った者(以下「行為者」という。)からのセクシュアルハラスメントの被害をできるだけ軽くしたいとの心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実はセクシュアルハラスメントを受けたことを単純に否定する理由にはならないこと。

・ 被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実は心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にならないこと。

・ 被害者は、医療機関でもセクシュアルハラスメントを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申し立てていないことは心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にならないこと。

・ 行為者が上司であり被害者が部下である場合や行為者が正規雇用労働者であり被害者が非正規雇用労働者である場合等のように行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得ること。

(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

令和8年の問題を解いてみましょう

 本問において「被害者」とは「セクシュアルハラスメントを受けた者」のことであり、「行為者」とは「セクシュアルハラスメントを行った者」のことである。

①【R8年問4-A】

 被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実は心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。

 

 

 

 

【解答】

①【R8年問4-A】 〇

 被害者が、被害を受けてからすぐに相談行動をとらなくても、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはなりません。

 

 

 

②【R8年問4-B】

 被害者が医療機関の初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申し立てていないことは、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R8年問4-B】 〇

 被害者が医療機関の初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申し立てていなくても、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはなりません。

 

 

 

③【R8年問4-C】

 行為者が、雇用関係上、被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R8年問4-C】 〇

 行為者が、雇用関係上、被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得ます。

 

 

 

④【R8年問4-D】

 胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントが継続して行われた場合は、「特別な出来事」として評価する。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R8年問4-D】 ×

 「胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントが継続して行われた場合」は、「特別な出来事」としては評価されません。

 なお、「特別な出来事」の類型は、「心理的負荷が極度のもの」、「極度の長時間労働」とされています。

 

★業務による心理的負荷評価表について確認しましょう。

・業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、別表1「業務による心理的負荷評価表」(以下「別表1」という。)を指標として、把握した出来事による心理的負荷の強度を、次のとおり「強」、「中」、「弱」の3段階に区分する。

・なお、別表1においては、業務による強い心理的負荷が認められるものを心理的負荷の総合評価が「強」と表記し、業務による強い心理的負荷が認められないものを「中」又は「弱」と表記している。「弱」は日常的に経験するものや一般に想定されるもの等であって通常弱い心理的負荷しか認められないものであり、「中」は経験の頻度は様々であって「弱」よりは心理的負荷があるものの強い心理的負荷とは認められないものである。

■特別な出来事の評価

 発病前おおむね6か月の間に、別表1の「特別な出来事」に該当する業務による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「強」と判断する。

■特別な出来事以外の評価

「特別な出来事」以外の出来事については、当該出来事を別表1の「具体的出来事」のいずれに該当するかを判断し、合致しない場合にも近い「具体的出来事」に当てはめ、総合評価を行う。

 

 「具体的出来事」の一つに「セクシュアルハラスメントを受けた」があります。心理的負荷の総合評価の視点は次の通りです。

・ セクシュアルハラスメントの内容、程度等

・ その継続する状況

・ 会社の対応の有無及び内容、改善の状況、職場の人間関係等

→ 胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントであっても、行為が継続しておらず、会社が適切かつ迅速に対応し発病前に解決した場合は、心理的負荷の強度は「中」と判断されます。

→ 問題文のように、胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、継続して行われた場合は、心理的負荷の強度は、「強」と判断されます。

 

 

⑤【R8年問4-E】

 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、発言が継続していない場合、心理的負荷の強度は「中」と判断する。

 

 

 

 

【解答】

⑤【R8年問4-E】 〇

 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、発言が継続していない場合、心理的負荷の強度は「中」と判断されます。

 

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