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R9-063 10.26
就業規則の作成手続について条文を読んでみましょう
労基法第89条 (作成及び届出の義務) 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 (絶対的必要記載事項)必ず記載しなければならない事項 (1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 (2)賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 (3)退職に関する事項(解雇の事由を含む。) (相対的必要記載事項)定めをする場合は記載しなければならない事項 (4) 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 (5) 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項 (6) 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項 (7) 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項 (8) 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項 (9) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項 (10) 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項 (11) 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
労基法第90条 (作成の手続) 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。 ② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。 |
令和8年の問題を解いてみましょう
①【R8年問7-ア】
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成について、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、就業規則の届出には、その意見を記した書面を添付しなければならないが、当該書面の内容が当該就業規則に全面的に反対するものであっても、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響はない。

【解答】
①【R8年問7-ア】 〇
就業規則の作成、変更については、「意見を聴かなければならない」となっています。
労働者の団体的意見を求めるという意味ですので、「同意を得る」、「協議をする」までは要求されません。そのため、意見が「反対意見」でもその意見に拘束されることはありません。
「就業規則に添付した意見書の内容が、当該就業規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、またその反対理由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響はない。」とされています。
(昭24.3.28基発373号)
②【R8年問7-イ】
派遣労働者については、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。

【解答】
②【R8年問7-イ】 〇
派遣労働者について、就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者です。
派遣労働者は、労働契約関係にある「派遣元」の人数に含まれます。
(平27.9.30基発0930第5号)
③【R8年問7-ウ】
育児介護休業法による介護休業についても、介護休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、介護休業取得に必要な手続、休業期間については就業規則に記載される必要があるが、同法においては、介護休業の対象者、申出手続、介護休業期間等が具体的に定められているので、同法の定めるところにより介護休業を与える旨の定めがあれば、就業規則への記載義務は満たしていると解される。

【解答】
③【R8年問7-ウ】 〇
育児休業制度の労働基準法の取扱いについての解釈を読んでみましょう
法第89条第1項第1号において就業規則の記載事項として「休暇」があげられており、この「休暇」の中には、従来から、育児休暇も含まれるものと解してきたところであること。育児休業法による育児休業も、この育児休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があること。 なお、育児休業法においては、育児休業の対象者、申出手続、育児休業期間等が具体的に定められているので、育児休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしていると解されること。 (平3.12.20基発第712号) |
「介護休業」についても、上記の育児休業と同じように考えます。
「育児介護休業法の定めるところにより介護休業を与える」旨の定めがあれば、就業規則への記載義務は満たしているとされます。
④【R8年問7-エ】
複数の事業場を有する企業が、全事業場で同一の就業規則を適用するため、本社で一括して就業規則の作成等を行い、各事業場分の届出を本社の所轄労働基準監督署長へ一括して行う場合において、本社及び各事業場に労働組合がないときは、労働基準法第90条第2項に規定する書面について、本社の労働者の過半数を代表する者の意見を記したもののみを添付すればよい。

【解答】
④【R8年問7-エ】 ×
次の(1)から(4)の全てを満たした場合に限り一括して届出を行うことができるとされています。
(1) 本社の就業規則と就業規則の内容が同一であること。 (2) 本社を含む事業場の数に対応した必要部数の就業規則及び事業場ごとに作成した「意見書」の正本を提出すること。 (3) 各事業場の名称、所在地及び所轄署長名が記載された一覧表を添付し、本社の所轄署長に届け出ること。 (4) 法第89条各号に定める事項について当該企業の本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容のものである旨を附記すること。 なお、就業規則の変更の届出の場合にあっては、変更前の就業規則の内容についても同一である旨を附記すること。 (令7.3.28基発0328第9号) |
本社で一括して就業規則の作成等を行い、各事業場分の届出を本社の所轄労働基準監督署長へ一括して行う場合において、本社及び各事業場に労働組合がないときは、意見書について、「本社の労働者の過半数を代表する者の意見を記したもののみ添付すればよい。」は誤りです。事業場ごとに作成した「意見書」が必要です。
⑤【R8年問7-オ】
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされているが、この計算の基礎となる平均賃金を算定すべき事由の発生した日とは、当該減給の制裁事由が発生した日である。
【解答】
⑤【R8年問7-オ】 ×
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、就業規則に記載しなければなりません。
減給制裁の場合の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「当該減給の制裁事由が発生した日」ではなく、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」です。
(昭3.7.1929基収5875号)
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