合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

【労働一般常識】労働契約法

R9-067 10.30

労働契約法|条文の解釈と判例

令和8年の問題を解きながらポイントをみていきましょう

 

①【R8年問4-A】

 労働契約法第3条第5項は、権利濫用の禁止の原則を規定しているが、この規定は同法第3章に定める出向、懲戒及び解雇に関する権利濫用の禁止を確認したものであり、同章で規定していない労働契約の場面では、権利濫用の禁止の原則は適用されない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R8年問4-A】 ×

 労働契約法第3条第5項は、「権利濫用の禁止の原則」です。「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。」と規定されています。

・ 法第3章では、出向、懲戒及び解雇に関する権利濫用を禁止する旨が規定されていますが、同章で規定していない場面においても、法第3条第5項の「権利濫用の禁止の原則」が適用される」とされています。

 問題文の場合、法第3章で規定していない労働契約の場面でも、権利濫用の禁止の原則は適用されます。

(平24.8.10基発0810第2号)

 

 

 

②【R8年問4-B】

 請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が、注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために、請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり、上記の派遣を労働者派遣法に違反する労働者派遣と解すべき場合において、⑴上記雇用契約は有効に存在していたこと、⑵注文者が請負人による当該労働者の採用に関与していたとは認められないこと、⑶当該労働者が請負人から支給を受けていた給与等の額を注文者が事実上決定していたといえるような事情はうかがわれないこと、⑷請負人が配置を含む当該労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあったことなど判示の事情の下であっても、当該労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたことをもって、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたといえるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R8年問4-B】 ×

 登場するのは、「請負人」、「注文者」、「派遣されていた労働者」です。

 「注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたものと評価することはできない」が結論です。

 ⑴「請負人」と「注文者の工場に派遣されていた労働者」との雇用契約は有効に存在していたこと、⑵注文者が請負人による当該労働者の採用に関与していたとは認められないこと、⑶当該労働者が請負人から支給を受けていた給与等の額を注文者が事実上決定していたといえるような事情はうかがわれないこと、⑷請負人が配置を含む当該労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあったことなど、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたものと評価することはできないとするのが、最高裁判所の判例です。

(平21.12.18最高裁判所第二小法廷)

 

 

 

③【R8年問4-C】

 労働契約法第7条により、労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者が就職した場合でも、合理的な労働条件が定められている就業規則であるという要件さえ満たしていれば、当該就業規則を労働者に周知させていなくても、当該就業規則で定める労働条件が労働契約の内容を補充し、「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件による」という法的効果が生じる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R8年問4-C】 ×

 労働契約法第7条は、労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者が就職した場合において、「合理的な労働条件が定められている就業規則」であること及び「就業規則を労働者に周知させていた」ことという要件を満たしている場合には、就業規則で定める労働条件が労働契約の内容を補充し、「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件による」という法的効果が生じることを規定したものです。

 労働契約の成立についての合意はあるものの、労働条件は詳細に定めていない場合であっても、就業規則で定める労働条件によって労働契約の内容を補充することにより、労働契約の内容を確定するものです。

 問題文は、「合理的な労働条件が定められている就業規則であるという要件さえ満たしていれば、当該就業規則を労働者に周知させていなくても」となっているので誤りです。「周知させる」ことが要件です。

(平24.8.10基発0810第2号)

 

 

 

④【R8年問4-D】

 労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分についても、合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合には、就業規則の内容が優先されることとなる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R8年問4-D】 〇

 労働契約法第10条を読んでみましょう

労働契約法第10条

 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

・ 法第10条本文の「当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」という法的効果が生じるのは、同条本文の要件を満たした時点であり、通常は、就業規則の変更が合理的なものであることを前提に、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させたことが客観的に認められる時点であること。

・ 法第10条ただし書の「就業規則の変更によっては変更されない労働条件」として合意していた部分については、同条ただし書により、法第12条に該当する場合(合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合)を除き、その合意が優先するものであること。

(平24.8.10基発0810第2号)

<問題文について>

 労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分は、「その合意が優先」されます。ただし、合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合には、就業規則の内容が優先されることとなります。

 

 

 

⑤【R8年問4-E】

 従業員が職場で上司に対する暴行事件を起こしたことなどが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして、使用者が捜査機関による捜査の結果を待った上で上記暴行事件から7年以上経過した後に諭旨退職処分を行った場合において、上記暴行事件には目撃者が存在しており、捜査の結果を待たずとも使用者において処分を決めることが十分に可能であったこと、上記諭旨退職処分がされた時点で企業秩序維持の観点から重い懲戒処分を行うことを必要とするような状況はなかったことなど判示の事情の下であっても、就業規則所定の懲戒解雇事由を厳正に解釈して、上記諭旨退職処分は、権利の濫用として無効であるとまではいえないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R8年問4-E】 ×

 「本件各事件から7年以上経過した後にされた本件諭旨退職処分は、原審が事実を確定していない本件各事件以外の懲戒解雇事由について被上告人が主張するとおりの事実が存在すると仮定しても、処分時点において企業秩序維持の観点からそのような重い懲戒処分を必要とする客観的に合理的な理由を欠くものといわざるを得ず、社会通念上相当なものとして是認することはできない。そうすると、本件諭旨退職処分は権利の濫用として無効というべきであり、本件諭旨退職処分による懲戒解雇はその効力を生じないというべきである。」とされています。

(平18.10.6最高裁判所第二小法廷)

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/6UgPmsOxg_k?si=qKGEA3TLgcfoSSHl

社労士受験のあれこれ