シリーズ振替加算その4です。
これまで勉強してきたように、専業主婦の年金は旧法と新法で異なります。そもそも振替加算とは、旧法・任意加入→新法・第3号被保険者強制加入という制度の移り変わりで老齢基礎年金が満額にならない人をカバーするためのものです。
ですので、年金が十分に支給される人には、振替加算がつかない場合もあります。
~~ちなみに、旧法で任意加入して保険料を納付した+新法は全て第3号被保険者だった人の場合、老齢基礎年金が満額になりますが、その場合でも要件に合えば振替加算は加算されます。~~
★振替加算が行われないパターン → 妻も厚生年金保険に加入していたことがあり、老齢厚生年金を受けることができるとき
ただし、これは厚生年金保険の被保険者期間が240月以上(中高齢の特例含む)で計算される老齢厚生年金が対象です。
逆に、老齢厚生年金を受けることができる妻でも、厚生年金保険の被保険者期間が原則として240月未満(20年未満)の場合は、振替加算が加算されます。
★振替加算が支給停止されるパターン → 妻が障害基礎年金、障害厚生年金等の給付を受けることができるとき
障害基礎年金等なら保険料納付済期間の月数に関わらず満額支給されますよね。振替加算でカバーする必要がないからです。
では、問題を解いてみましょう!!
① H20年出題(改)
老齢基礎年金の受給権者が、厚生年金保険法による老齢厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものとする。)を受給できる場合は、振替加算は行われない。
② H21年出題
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が障害基礎年金の受給権を有するときに、当該障害基礎年金の全額につき支給が停止されている場合においても、振替加算に相当する部分の支給は停止される。
③ H21年出題
遺族基礎年金の支給を受けている者に老齢基礎年金の受給権が発生したときは、いずれかを選択することになるが、遺族基礎年金を選択した場合であっても、振替加算の加算要件を満たす場合には、当該遺族基礎年金の額に振替加算相当額が加算される。
【解答】
① H20年出題(改) ○
「被保険者期間の月数が240以上」が最大のポイントです。
② H21年出題 ×
障害基礎年金が全額支給停止されている場合は、振替加算は支給停止されません。
昭60法附則第16条では次のように規定されています。
「振替加算が加算された老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める額を受けることができるときは、その間、振替加算に相当する部分の支給を停止する」
障害を支給事由とする年金を「受けることができるとき」はその間振替加算に相当する部分が停止されますが、障害基礎年金が全額支給停止(受けることができない)の場合は、振替加算は支給停止されません。
◇◇ちなみに、平成21年には次のような問題も出ています。
振替加算が加算された老齢基礎年金を受給している者であって、その者が障害基礎年金等の障害を事由とする年金給付を受給できるとき(当該障害基礎年金は支給停止されていない。)は、その間当該加算に相当する額が支給停止される。
障害基礎年金等を受給できる(支給停止されていない)とあるので、その間、振替加算は支給停止されます。答えは○です。
③ H21年出題 ×
振替加算は老齢基礎年金に加算されるものです。遺族基礎年金に振替加算額が加算されることはありません。
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