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R9-035 09.28
令和8年本試験の「賃金」の問題をみていきます。
最初に賃金支払5原則を条文で確認しましょう
法第24条 (賃金の支払) ① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。 ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。 ② 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。 ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。 |
今回のポイント!
・遡及賃金の支給の対象者
・「振込」の払い出しの条件
・労使協定による賃金控除の条件
・毎月1回以上払いの原則~毎月とは?
・賃金の直接払い
令和8年の問題を解いてみましょう
①【R8年問3-A】
9月1日に当該年の1月からの新給与を決定し、遡及支払を行う場合、同年1月以降同年8月31日までの退職者については賃金差額を支給しないと規定することは、労働基準法第24条違反となると解される。

【解答】
①【R8年問3-A】 ×
新給与を決定した後、過去に遡及して賃金を支払うことを取り決める場合に、その支払対象者を「在職者のみ」とするか若しくは「退職者を含める」かは当事者の自由とされています。「退職者については賃金差額を支給しない」と規定することは、違法ではありません。
(昭23.12.14基収4092号)
②【R8年問3-B】
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について、当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込みによることができるが、例えば、所定の賃金支払日が毎月15日である企業において、「振込み」は、振り込まれた賃金の全額が当該振り込まれた月の末日までに払い出し得るように行われることを要すると解される。

【解答】
②【R8年問3-B】 ×
「口座振込み等がされた賃金は、所定の賃金支払日の午前10時頃までに払出し又は払戻しが可能となっていること。」とされています。
(令4.11.28基発1128第4号)
③【R8年問3-C】
労働基準法第24条第1項により、「事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」ため、当該協定がある場合には、購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費等、事理明白なもののほか、実物給与として支給した部分の金額も賃金から控除することが認められると解される。

【解答】
③【R8年問3-C】 ×
購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費等、事理明白なものについてのみ、賃金から控除することが認められます。
(平11.3.31基発168号)
④【R8年問3-D】
賃金は、毎月1回以上支払わなければならないが、「毎月」とは、暦に従うものと解されるから、毎月1日から月末までの間に少なくとも1回は賃金を支払わなければならない。

【解答】
④【R8年問3-D】 〇
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
「毎月」とは、暦に従うものと解され、毎月1日から月末までの間に少なくとも1回は賃金を支払わなければなりません。
⑤【R8年問3-E】
労働基準法第24条第1項に定める直接払の原則に違反して、使用者が労働者の代理人に賃金を支払った場合でも、代理受領者が労働者本人に賃金全額を渡したときには、当該労働者が現実に利益を得た限度で民事上有効な弁済となり、その限度で使用者は二重払に応ずる必要はなく、同条違反の刑事責任を免れる。

【解答】
⑤【R8年問3-E】 ×
労働基準法第24条第1項は、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止しています。
労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、いずれも本条違反となり、労働者が第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理等の法律行為は無効です。
(昭63.3.14基発150号)
(支払そのものの民事効果)
使用者が労働者の代理人に賃金を支払った場合で、代理受領者が労働者本人に賃金全額を渡したときには、当該労働者が現実に利益を得た限度で民事上有効な弁済となり、その限度で使用者は二重払に応ずる必要はありません。
(刑事責任について)
「同条違反の刑事責任を免れる。」ではなく、「同条違反の刑事責任を負わなければなりません。」
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