R4-074
令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。
今日は「1か月単位の変形労働時間制導入手続き」です。
では、どうぞ!
①【R3年問5B】
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が労働基準法第32条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができるが、この協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより認められる。
【解答】
①【R3年問5B】 ×
1か月単位の変形労働時間制を、労使協定で導入する場合は、所轄労働基準監督署長への届出が義務づけられています。
届出をしなかった場合は罰則が適用されます。しかし、届出は労使協定の効力の発生要件とはなっていません。締結することで効力が発生します。ですので、問題文の最後の「この協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより認められる。」の部分が誤りです。
なお、36協定は、「所轄労働基準監督署長に届け出る」ことによって効力が発生しますので、違いに注意しましょう。
良かったら「36協定の免罰効果」の記事も参考にしてください。
(法第32条の2)
こちらもどうぞ!
②【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。
【解答】
②【R1年出題】 ×
1か月単位の変形労働時間制は、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」によって導入することができます。
「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも導入が可能です。
また、①の問題で見たように、「労使協定」で導入する場合は届出が必要ですが、届出が効力の発生要件ではないので、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる」の部分も誤りです。
なお、常時10人以上の労働者を使用する事業は就業規則作成義務があるので、1か月単位の変形労働時間制を導入する場合は、「労使協定」又は「就業規則」のどちらかとなります。「就業規則に準ずるもの」では導入できません。
10人未満の事業場では、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」で導入できます。
こちらもどうぞ!
③【H19年出題】
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。
その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7
【解答】
③【H19年出題】 〇
変形期間の所定労働時間の合計が、「その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7」で計算した時間内におさまるようにする必要があります。
例えば、変形期間を「1か月」とした場合、30日の月なら、「40時間×30日÷7=171.4時間」が1か月の総枠となります。1か月の所定労働時間の合計が171.4時間以内なら、変形期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。
ちなみに、特例事業場の場合は法定労働時間は44時間ですので、総枠は「44時間×30日÷7=188.5時間」となります。
最後に条文を穴埋めで確認しましょう!
第32条の2 1か月単位の変形労働時間制
① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は< A >により、< B >以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が労働基準法第32条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁に届け出なければならない。
【解答】
A 就業規則その他これに準ずるもの
B 1か月
社労士受験のあれこれ
毎日コツコツYouTubeチャンネル
チャンネル登録よろしくお願いします